内容説明
日本的なものとヨーロッパ的なものとが重層をなして成立した日本の近代。西周、西田、九鬼、和辻らは、その中で“あるべき近代”を模索した。たんに近代日本の精神構造の解明にとどまることなく、ヨーロッパ近代に対する根本的な反省をも孕んでいる彼らの思想遺産を通し、われわれが直面する現代文明の課題を考察する「日本近代」のトポグラフィー。
目次
第1章 日本美を貫く「一なるもの」―芭蕉と利休
第2章 西洋思想「ヒロソヒ」の翻訳―西周
第3章 近代への不安―夏目漱石
第4章 禅から哲学へ―西田幾多郎
第5章 「いき」からの傾斜―九鬼周造
第6章 「間」の倫理―和辻哲郎
第7章 近代の超克―京都学派
第8章 ハイ・テク時代の日本的なもの
第9章 「歴史時間」は加速する
第10章 テクノロジーと宗教
著者等紹介
大橋良介[オオハシリョウスケ]
1944年生まれ。京都大学文学部哲学科卒、ミュンヘン大学文学部哲学科博士課程修了。龍谷大学教授、西田哲学会会長、西田哲学館名誉館長。専攻は哲学・美学。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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うえ
3
「禅は今日の宗教ブームとは別に、わけても外国で根づよいブームを形成してきた。このブームの中で、禅への一般的関心は、これまでとはちがったある新しい特徴を帯びてきている。その特徴は、西田が30歳代に禅に打ち込んだ時には、まだほとんどあらわれていなかった…ハイデッガーが、「無」を有の別の名称として思索し、東洋の思想に深い関心を示したことは、よく知られるとおりである。京都学派の「絶対無」の思想は…宗教的内容としては仏教でいう「空」と重なるといってよかった。しかし他方で、日本近代の成立ととも生じた出来事でもあった」2024/06/17
ねこみ
0
すごくおもしろい。「個人の人生はその個人だけの人生であるとともに、その個人の生きた「時代」の自己表現でもある。」2011/09/05
Figaro
0
この本を理解するには、まず西田哲学を理解する必要があるだろう・・・。難解。もう一度挑戦しよう。2010/10/11