出版社内容情報
“混沌と酔狂の時代に、中世的秩序は崩れゆく” 三代将軍義満の治世から応仁・文明の乱まで、財政・相続・贈与・儀礼のしくみを精緻に解明し幕府の権力構造に迫る。中世から近世への転換点を生きる人々の姿とは
桜井 英治[サクライ エイジ]
著・文・その他
内容説明
恨みを忘れず報復の機会を虎視耽々と狙う人々、コネと賄賂が威力を発揮する訴訟、籤引きによる後継者選び、外聞ばかりを気にかける歴代将軍―。三代将軍義満の治世から応仁・文明の乱にかけての財政、相続、贈与、儀礼のしくみを解明、幕府の権力構造を描き、時代を覆う精神世界に迫る。無為と恐怖と酔狂に彩られた混沌に、中世的秩序は崩れゆく。
目次
第1章 神々の戦い
第2章 「神慮」による政治
第3章 「無為」と「外聞」
第4章 徳政一揆
第5章 酔狂の世紀
第6章 下剋上の波
第7章 京都開陣
著者等紹介
桜井英治[サクライエイジ]
1961年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科国史学専攻博士課程単位取得退学。博士(文学)。東京大学准教授。専攻は日本中世史、流通経済史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
95
室町時代というのは、あまりイメージがつかめなかったのです。日本史というと高校時代に山川の教科書でならったくらいで、それ以降は中央公論社の日本の歴史を読んだくらいです。とくに尊氏や義満については結構書いてあるものがあるのですが、ここに記されている時代はあまり知りませんでした。文化についても知ってはいるのですが、義満以降のの政治体制や世の中の状況が比較的概観的にとらえることができました。2017/06/09
ぴー
39
義満政権〜応仁の乱まで通史。この時期の政治や社会等がバランスよく書かれており、読みやすい。この時期の将軍はメンタルやられるだろうな。大名、仏教勢、天皇家、民衆の一揆など対応すべきことが多すぎる。自分はお酒は飲まないが、この時代の政治をしてたら、飲まんとやっとれんわな笑。特に、第五章は二日酔い等のエピソードが書かれており、学術文庫ですが面白く読めました。応仁の乱の謎も興味深いものがありました。2024/10/07
coolflat
18
101頁。応永の外寇。朝鮮軍が対馬を攻撃した目的は対馬を本拠地とする倭寇の殲滅にあった。さらに藤田明良氏によれば、朝鮮沿岸・島嶼部から対馬にかけて広くみられた諸民族の雑居状態を解消し、この海域を国家支配に組み込もうという朝鮮政府の沿海政策があったという。当時の朝鮮側史料にあらわれる「倭人」とは、主に対馬人をさす用語であったが、その実体は日本人あり、朝鮮人あり、中国人あり、はたまたこれらの混血ありと実に様々だったのである。また彼らが話したいう「倭語」も、日本本土の言葉とは異なるこの地域特有の言語であった。2023/05/19
白隠禅師ファン
13
義満〜義尚期までの政治、財政、儀礼、文化、朝幕関係などが詳しく書かれていて読んでいて楽しかった。とにかく内容が濃かったし、とても勉強になりました。そして義教期や応仁文明の乱についての章が面白かったんで、これから深掘りしていきたいです。2024/03/18
かんがく
13
ここ2年ほど、室町時代の本を多数読んでいたので読みやすかった。足利義満〜義尚の100年間の歴史を記述。義満・義教・義政に比べると地味な印象のある義持や、天皇や公家、管領や守護大名、女性や宗教者などにもスポットライトを当てており、日記などを通して当時の状況が活き活きと伝わる。公武の合体について、公家側が優位になった場合もあったという後花園の例、第3章の「無為」と「外聞」、関東公方への警戒の中での将軍の采配のもとでの守護合議制の「一揆」など、新たな知見が多く得られた。2018/11/13
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