講談社文芸文庫
珠玉百歌仙

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  • サイズ 文庫判/ページ数 253p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784062902915
  • NDC分類 911.104
  • Cコード C0195

出版社内容情報

斉明天皇から森鴎外まで、およそ12世紀にわたる短歌の歴史の中から112首を厳選し、稀代のアンソロジストが批評鑑賞を施した名著斉明天皇から森鴎外まで、およそ12世紀にわたる短歌の歴史の中から112首を厳選し、稀代のアンソロジストが批評鑑賞を施した名著

塚本 邦雄[ツカモト クニオ]
著・文・その他

内容説明

日本の詩歌のすべてに、あまねく愛惜と畏敬の眼をそそぎ、鬱然たる一大詞華集を創り上げることこそ、言語藝術、殊に韻文定型詩に關る人すべてに通じる今生の「夢」ではなからうか―斉明天皇から吉田兼好、森鴎外まで、約十二世紀にわたる百十二首を精選。簡明かつ非凡な批評・鑑賞を施した、塚本アンソロジーの精華。

目次

射ゆ獸を認ぐ川邊の若草の若くありきと吾が思はなくに 齊明天皇
家にありし櫃に〓(かぎ)刺し藏めてし戀の奴のつかみかかりて 穗積皇子
蜻蛉羽の袖振る妹を玉くしげ奥に思ふを見たまへ吾が君 湯原王
雄神河紅にほふ嬢子らし葦付き採ると瀬に立たすらし 大伴家持
道に逢ひて咲まししからに零る雪の消なば消ぬがに戀ふとふ吾妹 聖武天皇
ほととぎす鳴くや五月のあやめぐさあやめも知らぬ戀もするかな 讀人知らず
名にし負はばいざこととはむ都鳥わが思ふ人はありやなしやと 在原業平
蝉の羽のよるの衣はうすけれどうつり香濃くも匂ひぬるかな 紀友則
かぎりなき思ひのままに夜も來む夢路をさへに人はとがめじ 小野小町
夕ぐれは雲のはたてにものぞおもふあまつそらなる人を戀ふとて 讀人知らず〔ほか〕

著者等紹介

塚本邦雄[ツカモトクニオ]
1920・8・7~2005・6・9。歌人、評論家、小説家。滋賀県生まれ。歌誌「日本歌人」(前川佐美雄主宰)に入会。1951年、『水葬物語』で歌壇に登場。60年、岡井隆、寺山修司等と「極」を創刊。85年、歌誌「玲瓏」主宰。反リアリズムの前衛短歌の雄として精力的に活動。『日本人靈歌』で現代歌人協会賞、『詩歌變』で詩歌文学館賞、『不變律』で迢空賞、『黄金律』で斎藤茂吉短歌文学賞、『魔王』で現代短歌大賞を各々受賞。97年、勲四等旭日小綬章受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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おおた

19
塚本邦雄先生が選んでも江戸以降は俳諧色が強くて「歌仙」と言い切るのはつらい……。小侍従「夢とのみ思ひ果ててもやむべきに契りし文の何残りけむ」とか為家「落ちたぎつ岩瀬を越ゆる三河の枕をあらふあかつきの夢」のように新古今時代がやはり技巧・心ばえともにぐれているように思います。江戸に入るといろいろなものが進歩した結果、平安時代の鷹揚さや幻想性みたいなものが失われてしまったのかも。むしろ江戸に入ると天皇の歌に雅びがあっていい。「夕あらし雪の花をも負ひそへてかへる木樵りの歌う聲聲」2017/05/16

双海(ふたみ)

13
現代文学の閉塞を、和歌という”美の祈り”で打ち砕く、塚本氏の珠玉百歌仙。氏の序文も素晴らしい:「日本の詩歌のすべてに、あまねく愛惜と畏敬の眼をそそぎ、鬱然たる一大詞華集を創り上げることこそ、言語藝術、殊に韻文定型詩に關る人すべてに通じる今生の『夢』ではないだらうか」・「瑠璃草の葉におく露の玉をさへ もの思ふきみは涙とぞ見る」(源順)2018/01/22

かさねパパ

4
塚本さんが選んだ百人一首の様な歌集です。万葉から近代まで幅広く選ばれてますが、当然のことながら、時代的な偏りはあります。塚本さんは、新古今集頃より風雅集頃までの歌に思い入れがあるような印象があり、他の著作でも重点的に論じているように思います。俊成、定家、後鳥羽院、良経の新古今時代、京極派~二条派など、ストレートな表現~技巧よりは象徴的な表現、淡く霞んだ感じの方が好まれている様に感じます。百首だけでは足りないように思いますが、其々の解説は塚本風~理知的でありながら情熱的で、ついつい引き込まれてしまいます。2015/12/03

ぷほは

2
和歌/短歌の「/」を越境する試みは60年代以降の近代以前再評価の全世界的試みと志同じくするものだと言えるが、西欧の複雑な地政学的人文学の重層性と異なり、単一の国学的時間軸で選び抜かれた数々は、どうも時期による磨耗を感じさせるものが少なくない。大熊言道「童べの枕のもとのいかのぼり夢の空にや舞ひあがるらむ」は寺山「飛べぬゆえいつも両手をひろげ眠る自動車修理工の少年」のような捻れのない素朴さしかない。他方、後櫻町天皇「夕あらし雪の花をも負ひそへてかへる木樵りの歌ふ聲聲」はこの時期にあって尚解説込みで素晴らしい。2019/01/22

こらった

0
新古今近辺のマイナー(?)和歌が多く勉強になる。2017/07/23

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