出版社内容情報
広島原爆投下の日を克明に描いた「夏の花」他、壮絶な体験と苦悩を刻んだ小説群。戦後70年を経て尚鮮烈な光を放つ戦争文学の金字塔広島への原爆投下の惨劇を克明に描いた傑作「夏の花」三部作、亡妻への痛切な思いが滲む「美しき死の岸に」ほか、壮絶な体験と苦悩を刻んだ小説群。戦後70年を経て尚鮮烈な光を放つ戦争文学の金字塔を、文芸文庫スタンダードとして新装版刊行。
夏の花
美しき死の岸に
原爆以後
拾遺作品集
童話作品集
原 民喜[ハラ タミキ]
著・文・その他
内容説明
一九四五年八月六日、郷里の広島で被爆し一命を取り留めた原民喜は、この惨劇を書き残すことを決意する。“殺人光線”で焼けただれた肉体を、死にゆく者の呻き声を、遺体に埋もれ地獄絵図と化した光景を、克明に描き尽くす。戦禍の記録を文学へ昇華させた傑作「夏の花」三部作、亡妻への想いが滲む「美しき死の岸に」ほか計三十九篇。原爆を生み落した世界と人類に突きつける、文学の結晶。
著者等紹介
原民喜[ハラタミキ]
1905・11・15~1951・3・13。小説家、詩人。広島市生まれ。慶應義塾大学文学部英文科卒業。詩人として出発し、「三田文学」などに短篇小説を寄稿。疎開していた郷里の広島市で被爆。原爆投下の状況を克明に記したノートを基に、小説「夏の花」を1947年に発表する。童話も多く創作。1951年に鉄道自殺(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こだまの本棚
16
読み終わってはいないですが、期限が来てしまったので一旦感想を。p98にて。センター試験で出題された作品を含む戦後に書かれた作品をまとめたもの。面白い面白くないのものさしで測れるような作品ではない。本を開けば戦争の様子が浮かぶようで、被災した街を歩き回っている気分になる。続きはまたいつか。私はセンター試験でこの作者の作品を一部ではあるが読んで、試験中ながら引き込まれてしまった。ただ、今回は読み切ろうとするには忙しくて時期が悪かった。自分にとっては区切り区切り読む本ではなかったかな。2020/07/02
わいほす(noririn_papa)
7
今年のセンター試験の国語に出題され、若松英輔氏がtwitterでその設問に異を唱えていたので、問題文を読み、そしてネットで検索するうちに、この作家が「鋼と羊の森」で「明るく澄んで懐かしい文体・・・」と引用されていた作家であることを思い出し、ぜひ読まなくてはとこの本を購入。そんなきっかけで原民喜を知る私のような人が何人かいたら、それこそが出題者の狙いだったのではないかと思ってしまう。それにしても文庫本で定価2200円。 (以下コメントへ)2020/03/04
まどの一哉
3
ここにまとめられた作品はほとんどが自身の体験を綴った実話小説である。といっても私小説とは真逆の内容。自分をモデルに内心を告白するようなものではなく、あたかもドキュメンタリー作品の如く容赦ない身の回りの現実をルポする。この世の役に立たない人間として自覚する自身の、精一杯な生きるための格闘が描かれる。2024/09/26
choku70
0
遥かな旅、のみ。戦災に遭い、原爆に遭い、焼け野原をさまよい、戦後を餓えて生き、妻を亡くし、詩を出版し、河原でたたずみ、地上を去りたいと思いつつ、何かが彼を引き止め、魂はどこか遠くへ、どこまでも遠くへと。妻が彼を評した「あなたがそんな風だから心配で耐らないの」「赤ん坊のような人」という言葉に、慈しみつつも愛されていたのだな、という思い。「だが、何かはっきりしないが、彼に課せられているものが、まだ彼を今も地上にひきとめているようだった」の"何か"は何だったのだろうか。微かにでも彼を現世に押しとどめていたものは2024/06/30
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