出版社内容情報
生まれ育った町を振り返りながら書き綴った「私の長崎地図」を中心に、筆者の長崎へ対する思いが溢れる小説、随筆を編纂した作品集。
生まれ育った町を振り返りながら書き綴った「私の長崎地図」を中心に、筆者の長崎へ対する思いが溢れる小説、随筆を編纂した作品集。
内容説明
生まれ故郷・長崎。しかし、そこは再訪するのに四半世紀の時を必要とした地でもあった。強い郷愁と訪れることへの不安が、町の色や海の香に彩られた過去から現在に至る心の風景を紡ぎ出す。長崎を舞台にした「私の長崎地図」「歴訪」「色のない画」などの小説や随筆を精選したこの作品集は、「私の東京地図」と対をなす著者の魂の彷徨である。
目次
私の長崎地図
長崎の歌
長崎と文学
故郷の言葉
花について―おもい浮ぶこと
海の旅情
雛人形へのわが思い
歴訪
色のない画
長崎の具雑煮〔ほか〕
著者等紹介
佐多稲子[サタイネコ]
1904・6・1~1998・10・12。小説家。長崎県生まれ。1915年、一家をあげて上京。26年、同人誌「驢馬」の同人(中野重治、窪川鶴次郎、堀辰雄等)と出会う。28年、最初の作品「キャラメル工場から」を発表。プロレタリア作家として出発する。著書に『女の宿』(女流文学賞)、『樹影』(野間文芸賞)、『時に佇つ』(川端康成文学賞)、『夏の栞―中野重治をおくる』(毎日芸術賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あや
22
入手してから読み始めるまでと、読み始めてから読み終わるまでに時間のかかった本。入手時はたぶんKindleになっていなくて、どうしても読みたくてアマゾンマーケットプレイスで法外な値段で買った。佐多稲子さんの生い立ちから、長崎の原爆投下後の復興過程、代表作『樹影』のモデルについてのエッセイなど、佐多稲子さんファンにはたまらない1冊。解説を書いている長谷川啓さんは私の母校で教えていらした。私は教わっていないけど、親友が卒論指導を受けた。他の著作を再読したくなる。2024/11/30
Joao do Couto
2
著者の幼少期の記憶と長崎の歳時記が織りなすエッセイが懐かしさをよびおこします。長崎に行きたくなるというよりは、故郷へ帰って、子どもの頃参加した、湖畔で行なわれた小さな小さな花火大会を見に行きたくなりました。また、在日中国人や青い目の混血児たちにむける温かいまなざしさが著者の生き方を物語っている気がします。2012/10/27
ヨナキウサギ
1
「ここ」で読むに最適の本、というものがある。2012/08/14