講談社文芸文庫<br> 甲州子守唄

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講談社文芸文庫
甲州子守唄

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  • サイズ 文庫判/ページ数 317p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784062901567
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

「笛吹川」に続き著者の生まれ故郷である甲州の石和を舞台にした小説。明治から昭和の時代、人間の業と宿命を独特の筆致で描き切る。「笛吹川」の現代版
庶民の無常の世界を独特の語りで描いた世捨て人の文学

明治末から大正、昭和と三代にわたる日本近代の歩みが、笛吹川のそばに住む貧しいオカア一家を舞台に展開する一大ロマン。生糸の暴落と農村の貧窮、明治天皇の崩御、関東大震災、戦争と出征、空襲と食糧難、敗戦とヤミ商売――その間には息子・徳次郎の二十年近くのアメリカへの出稼ぎがあり、薄情者となって帰国した息子とその一家をオカアの眼差しから描く。土俗的な語りによる時代批判。

川村湊
「歴史」という時間の堆積がない小説世界。深沢七郎の小説は、日本の現代文学としては珍しい「時間」の流れを無化(無視)することによって成り立っている小説だ。(略)西行や鴨長明、そして深沢七郎のような世捨て人たちだけが、こうした「無常」を透視するまなざしを持つことができたのである。――<「解説」より>

※本作品は「群像」1964年12月号に発表され、単行本は、65年3月、講談社より刊行されました。本書では、筑摩書房刊『深沢七郎集 第三巻』(1997年4月)を底本としました。

深沢 七郎[フカザワ シチロウ]
著・文・その他

内容説明

明治末から大正、昭和と三代にわたる日本近代の歩みが、笛吹川のそばに住む貧しいオカア一家を舞台に展開する一大ロマン。生糸の暴落と農村の貧窮、明治天皇の崩御、関東大震災、戦争と出征、空襲と食糧難、敗戦とヤミ商売―その間には息子・徳次郎の二十年近くのアメリカへの出稼ぎがあり、薄情者となって帰国した息子とその一家をオカアの眼差しから描く。土俗的な語りによる時代批判。

著者等紹介

深沢七郎[フカザワシチロウ]
1914・1・29~1987・8・18。小説家。山梨県生まれ。1931年、山梨県立旧制日川中学校卒業。卒業とともに上京、職業を転々とする。13歳頃から始めたギターで、39年以降、ギター・リサイタルをしばしば開催。46年、文学上の師・丸尾長顕を知る。56年、「楢山節考」で中央公論新人賞を受賞。正宗白鳥、三島由紀夫の絶讃を受け、文壇にデビュー。60年、発表した「風流夢譚」が、右翼少年による「嶋中事件」を引き起こし、一時放浪生活に入る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

刳森伸一

6
明治後半から戦後までの甲州に住む一家の物語。激動の時代を徹底的に庶民の側から描くことで、大文字の歴史とはまた異なる当時の様相と壮絶さが浮かび上がる。特に後半の戦中戦後のくだりが白眉だと思う。2019/03/31

嘉江☆海★山♫

3
「笛吹川」に続いて「甲州子守唄」も素晴らしかったです。深沢七郎さん、こんな素晴らしい作品をありがとうございます。ちょうど本を読み終えた日に「人間滅亡的人生案内」が本屋さんで平積みされていて即購入!笑 これも出逢いだ。ガルシアマルケスの「百年の孤独」と同じことが伝わってもきた。輪廻…「甲州子守唄」は明治、大正、昭和の、しかも山梨県の民衆の生活が伝わってきた。平成、令和となって、色んなことが便利になり進化してきたのだろうけど、人間の心が抱える苦悩はどの時代にも変わらないのかもしれない。みんな懸命に生きている…2022/05/01

Shota Kumakura

3
同著者の「笛吹川」と同じく、山梨県を流れる笛吹川にかかる橋のたもとにすむ農民一家の生活を、オカアの視点から描く。同時代の他の家庭と同じく、養蚕の衰退や関東大震災、戦争、戦後の混乱などに翻弄される一家だが、歴史小説ではないので歴史の説明的な描写はなく、いち庶民の、時におおらかで時に残酷な日常がたんたんと綴られていく。突然はじまり突然おわる。「笛吹川」もそうであったが、出身が笛吹川沿いの僕は穏やかな気持ちで読むことが出来ない本。帯の「世捨て人の文学」という言葉もあわせて、忘れられない読後感。2014/02/25

ダージリン

3
「笛吹川」、「楢山節考」に続いて三作目。この作家の魔力にやっと慣れてきた気がする。明治末から終戦直後まで時代は移っていくが、そこに生きるオカアの一家、村の者達は特段変わることがない。関東大震災、戦争などがあろうが、大事なのは息子に嫁を世話するとか、ごくごく身近なところにある。激動の時代を背景にしたそのコントラストと、一見他愛のない出来事や会話群で形成される土俗性溢れる世界に見事にやられてしまうのである。2013/01/13

さとえり

1
「笛吹川」から続けて読んだ。駱駝のシアンツ的な終わり方であった。2019/05/03

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