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講談社文芸文庫
意味の変容・マンダラ紀行

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  • サイズ 文庫判/ページ数 276p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784062901475
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0195

出版社内容情報

「名づけようのない奇跡的な作品」柄谷行人著者の深い人生経験から導かれた宗教的、数学的な作品でありながら、そういう分類を拒む比類ない書。柄谷行人、中上健次らの解説付き。「マンダラ紀行」を併録。

内容説明

光学機械工場、ダムの工事現場、印刷所…異色の職歴と放浪の作家、森敦の経験と思索は、日本文学史上例を見ない、奇跡的な作品を創造した。宗教的、哲学的、数学的な論述を透過しながら、本作は「比類のない私小説」として読むこともできる。柄谷行人、岩井克人、浅田彰、中上健次による解説付き。空海の足跡を辿り真言密教の謎へ迫る「マンダラ紀行」併録。

目次

意味の変容(寓話の実現;死者の眼;宇宙の樹;アルカディヤ;エリ・エリ・レマ・サバクタニ ほか)
マンダラ紀行(大日のいますところにありながらそれとも知らず去りにけるかな;大日はいまだ雲霧におはすれどひかり漏れ来よ橋を渡らむ;大日のもとに至るか弘法の市にぎはひて心たのしむ;大日は大仏なりや半眼にいとおほらけくここにまします;絶巓にいます大日いや遠く足なへわれにいよよ幽し ほか)

著者等紹介

森敦[モリアツシ]
1912・1・22~1989・7・29。小説家。長崎県生まれ。旧制一高中退。横光利一に師事。1934年、「酩酊船」を新聞連載し、太宰治、檀一雄らと「青い花」を創刊。新鋭作家として期待されるも、以降30年に及ぶ転居・放浪生活を送る。50歳を過ぎ東京に戻る。74年、「月山」で芥川賞受賞。主な著書に、『われ逝くもののごとく』(野間文芸賞)等(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ハチアカデミー

6
B 外部と内部の境界を近傍とよび、そこに意味の変容を見る思弁的エッセイ。己が見たもの、感じたものを描くという意味では私小説とも言える。または労働する埴谷雄高か!? 一個人と宇宙を繋げる壮大な思想を、己が体験した仕事に結びつけて語る。森敦の目には、ダムの工事現場すら、「いかなる洪水も堰きとめることによって、いかなる洪水にもまさる洪水をつくりだ」すメビウスの輪的存在となってしまう。その矛盾を抱えているのが人間であり、それを思想に高めたのが真言密教におけるマンダラ表徴なのだろう。文学の可能性が広がる一冊だった。2012/02/09

Z

3
大すると閉じる。内部、境界、外部に対する考察が出てくるが、演算として、極限操作を考えると、内部に境界を付与すれば、極限が集合内に含まれるので、演算的に閉じるが、境界が外部に属すなら、極限が集合外に属すので、閉じてない。ここは未だ消化できてないが、おそらくゲーデルによる数学体系の無矛盾性の証明の破綻宣告が関係するが、結局、ある体系が独立して完全に閉じた体系を構築するのは不可能で人間の活動、創造力は組尽くせない、開かれてますよと言うのが主張と思う。おそらく著者は古典的な集合論をベースにしているので、時間の捉え2017/03/03

Z

3
他人には進めようと思わないが個人的な名著。数学に対する人文的な考察を小説にした本というのが要約でしょうか。個人的に今考えていることにマッチした。おそらく大学レベルの数学は閉じた体系を扱う(これは今だ作業仮説だが、19世紀以降、数学に限らずあらゆる分野で形式化が進み、大学制度、教育、伝達のためというのが一つの理由と思うが)。ここで、閉じるとはある集合内部で演算が閉じることを意味する。例えば自然数同士の足し算は自然数になるので閉じているが、割り算となると1/3=0.3333...となり閉じてないが、有理数に拡2017/03/03

Mark.jr

2
SF成分抜いて、代わりに日本文学・私小説要素を注入した円城塔のような…。2025/05/01

OjohmbonX

2
「意味の変容」はとにかくびっくりした。こんなの日本語で既に作られてたのか。比喩が比喩に留まらない、説明のための存在を越えて、必要性を備えてぴったりそこに存在するって相当珍しいしすごい。ふつう論理と例証を並べると、説明するもの-されるものの従属関係がどうしても生じるけどそれがまるでない。職業経験がシステム論に昇華されても、なお経験であり続ける。しかもそれが一回きりじゃなく連作短編みたいな形式で繰り返し・変奏されて見せられる。こういうの突きつけられると、エッセイと小説、実話と創作なんて区別がまるで無化される。2014/12/15

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