講談社文芸文庫<br> 風俗小説論

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講談社文芸文庫
風俗小説論

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  • サイズ 文庫判/ページ数 195p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784062901413
  • NDC分類 910.26
  • Cコード C0195

出版社内容情報

近代文学の問題点を衝く戦後批評の金字塔!近代リアリズムはいかに発生し、なぜ崩壊したのか。私小説、風俗小説を徹底的に分析・批判し、その特異性と功罪を明快に理論づけた、代表作にして画期的な名著。

内容説明

「『破戒』から『蒲団』にいたる道は滅びにいたる大道であったと云えましょう」。日露戦争の直後に起こった文壇の新気運のなかで、その後の日本文学の流れを決定づける二作品が誕生した。日本の近代リアリズムはいかに発生し、崩壊したのか。自然主義から誕生した私小説が日本文学史に与えた衝撃を鋭利な分析力で解明し、後々まで影響を与えた古典的名著。

目次

近代リアリズムの発生―風葉・藤村・花袋
近代リアリズムの展開
近代リアリズムの変質
近代リアリズムの崩壊―横光・武田・丹羽

著者等紹介

中村光夫[ナカムラミツオ]
1911・2・5~1988・7・12。評論家。東京生れ。本名木庭一郎。1931年東大法学部入学、のち仏文科へ。在学中「文学界」に「モウパッサン論」「文芸時評」等掲載。同誌連載の「二葉亭四迷論」で文学界賞、『二葉亭論』で第1回池谷信三郎賞。38年仏政府招聘留学生となりパリ大学に入学。第二次世界大戦のため帰国。「批評」に参加。戦後は明治大学で教鞭をとる。50年『風俗小説論』刊。翌年広津和郎と「異邦人」論争を展開。三島由紀夫等と「声」創刊。『二葉亭四迷伝』で読売文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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佐島楓

61
花袋論を書くために拾い読み。私小説の当時の文壇での評価の低さがよくわかる。2017/04/19

しゅん

14
想像以上に平易な文章でびっくりした。フィクションを構築する小説ではなく、『蒲団』以来根付いた日本の私小説に社会性が足りないとする。「事実」に価値を置く私小説の思想は身辺雑記の繊細な記述力だけを高める奇形的進化を遂げる。その進化を、ある種の歴史的失敗ととく。あとに柄谷行人が否定することになる「文学史」的思考が出てるとも感じたが、しかしやはり面白いし、なんらかの信頼に足ると感じる。この感じはどこからくるのだろう。2021/12/19

...

10
ロマン主義に対してのバルザックとかゾラとかスタンダールの提唱した自然主義。これは自然な振る舞いをする人間を描写、というか方程式の如く、こうなったらこう動くが万人に共有される程度の、類型的な人物描写を標榜していた。日本に輸入されたら、自然な振る舞いをする=作者と登場人物が一緒であれば嘘偽りのない”自然さ”を得られるだろうなどと”自然”の言葉の取り違えというか、拡大解釈が発生した、その戦犯は田山花袋だと中村光夫は指摘する。この時点で日本独自の私小説ができた。2020/05/04

oz

8
初読。中村光夫(1911-1988)による私小説批判で名高い書である。自然主義文学の定説によれば『破戒』は習作であり『蒲団』が最初の実作とある。中村は『破戒』の価値を再発見し、『蒲団』以降の私小説を批判する文学史観を提示した。本来のリアリズムは小説が仮構の世界であるという前提のもと、それを事実らしく支える細部を設える技巧であったが、私小説は事実であることが読者の前提であるため、リアリズムが自然の精緻な描写という技巧上の問題として受容された。古い本だが、今日でも私小説の理念はある種の倫理として残っている。2016/09/20

もりの

6
ぱらぱらぱら2017/07/14

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