出版社内容情報
磨かれた文章で人生の深淵を描出する随筆集幼い日の思い出、そして鎌倉での日々。横光利一、小林秀雄、井伏鱒二ら文学者との深い交流をめぐる感慨。透徹した視線と揺るぎない筆が冴える随筆集の新装版。
内容説明
作家としての早熟な才能を示した東京神田育ちの青年は菊池寛に誘われ文藝春秋社で編集者となった。しかし敗戦後は社を去り、以後筆一本の暮らしに入る―人生の断片を印象鮮やかに描き出す短篇小説の達人が横光利一、小林秀雄、井伏鱒二ら文学者との深い交流やさりげなくも捨てがたい日常・身辺の雑事を透徹した視線と達意の文章で綴った珠玉の名随筆五十九篇。
目次
身辺即事(五銭銅貨;翁;正確な文章;孫と新興国;薔薇のとげ ほか)
人の印象(菊池寛;三月七日;直木三十五;芥川龍之介;横光氏の忌日 ほか)
著者等紹介
永井龍男[ナガイタツオ]
1904・5・20~1990・10・12。小説家。東京生まれ。1920年雑誌懸賞に応募、当選。選者菊池寛の知遇を得る。34年『絵本』を刊行。39年「文藝春秋」編集長となる。47年公職追放により文筆活動に入る。50年「朝霧」で横光利一賞受賞。75年「秋」で川端康成賞受賞。著書に『一個その他』(野間文芸賞・芸術院賞)『石版東京図絵』及び『わが切抜帖より』『コチャバンバ行き』(共に読売文学賞)など。芸術院会員。文化勲章受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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げんがっきそ
3
前半は身辺即事のエッセイで、特に植物や季節の話が多いように思う。私はまだ植物の楽しみ方が分からない。小説家には俳句や絵画や詩等に興味を持つ共通性があるのだろうか。私は季語(俳句)に無知で、また植物にも無知だ。詩等が生む情緒にも無知だ。これらに相関性はあるだろうか。 さて、この本の後半は、永井龍男からみた人々の印象が書かれてある。菊池寛、直木三十五、芥川龍之介、横光利一、宇野浩二、久保田万太郎、中原中也等。作者も老年期に差し掛かって少なからず死を意識するのだろう、故人の話が多いように思う。2019/05/26
しも3
0
作者の多くは故人になった交流があった人への追悼 エピソード含めを興味深い話で綴られる。 静かな味わいがある。その他の短編も読んでいく2022/09/18