出版社内容情報
半身不随の病苦の中で一字一字刻みつけた魂の言葉。「私小説」の佳品10篇
文学への純粋な情熱を胸底に78年の生涯を私小説一筋に生きた上林暁。脳溢血で半身不随、言語障害を患った晩年も、左手と口述で一字一句、彫心鏤骨の作品を生みつづけた。川端康成に賞賛された出世作「薔薇盗人」、心を病む妻を看取った痛切な体験を曇りない目で描く「聖ヨハネ病院にて」、生と死のあわいを辿る幻想譚「白い屋形船」(読売文学賞)等、人生の苦悩の底から清冽な魂の言葉を響かせる珠玉短篇集。
富岡幸一郎
作家の「眼の誠実」と川端がいったのは、上林暁が、描かれる対象にたいするいたわりを内に含み、そのことにおいて人がそこで生きている真実の姿を浮き彫りにしている点であろう。(略)上林暁の「私小説」はつねに他者を包含し許容することで、また自然をはじめとする森羅万象を受け容れる姿勢を保つことで、描くべき存在に生命の息吹を注入し活力を回復させるのである。――<「解説」より>
上林 暁[カンバヤシ アカツキ]
著・文・その他
内容説明
文学への純粋な情熱を胸底に七十八年の生涯を私小説一筋に生きた上林暁。脳溢血で半身不随、言語障害を患った晩年も、左手と口述で一字一句、彫心鏤骨の作品を生みつづけた。川端康成に賞賛された出世作「薔薇盗人」、心を病む妻を看取った痛切な体験を曇りない目で描く「聖ヨハネ病院にて」、生と死のあわいを辿る幻想譚「白い屋形船」(読売文学賞)等、人生の苦悩の底から清冽な魂の言葉を響かせる珠玉短篇集。
著者等紹介
上林暁[カンバヤシアカツキ]
1902・10・6~1980・8・28。小説家。高知県生まれ。熊本の五高時代から習作を始める。1927年、東大英文科卒業、改造社入社。編集者の傍ら同人誌「風車」を創刊。33年、第一創作集『薔薇盗人』刊行。34年、改造社を退社し、以後筆一本の生活となる。38年発表の「安住の家」から私小説に己が文学の道を定める。戦争中に精神を病んだ妻を看病し、46年「聖ヨハネ病院にて」発表。62年、二度目の脳溢血を起こして半身不随となるが、妹徳広睦子の献身により口述執筆を行い、63年「白い屋形船」(読売文学賞)、73年「ブロンズの首」(川端康成文学賞)等の秀作を遺す(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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