内容説明
ソ連崩壊前夜、故郷を追われた「同胞」の壮絶な体験を聞くために中央アジアを訪れた在日朝鮮人小説家・林春洙は西ドイツでの恋を思い出す。それは背徳の恋であり、祖国の分裂という問題が暗い影を落とす恋でもあった。政治の力に蹂躙された人々との出会いを経て、林春洙は民族、そして人間そのものに思いを馳せる。東西冷戦終結後の世界を見すえ、いち早くなされた文学的達成。
著者等紹介
李恢成[リカイセイ]
1935・2・26~。作家。樺太生まれ。1947年、ソ連領サハリンから脱出。早稲田大学卒業後、朝鮮総連の活動と離脱、広告代理店や経済誌での勤務を経て、69年に「またふたたびの道」で第12回群像新人賞を受賞し、作家となる。72年に「砧をうつ女」で第66回芥川賞を受賞した。94年には長篇『百年の旅人たち』で第47回野間文芸賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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