講談社文芸文庫<br> ひとつの文壇史

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講談社文芸文庫
ひとつの文壇史

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  • サイズ 文庫判/ページ数 241p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062900188
  • NDC分類 910.26
  • Cコード C0195

内容説明

一葉研究の第一人者であり、晩年『接木の台』『暗い流れ』など、人間の業を見つめ、味わい深い世界を描いた作家・和田芳恵の出発は、編集者であった。昭和六年、新潮社に入社、大衆雑誌「日の出」の編集に携わり、菊池寛、吉川英治、尾崎士郎、小島政二郎ら多くの作家とつき合い、小説の純化のために奔走した。「その時の目撃者として、生き証人になることを心がけ」綴った回想録は、当時の貴重な文壇人物誌となった。

目次

“大学は出たけれど…”
新潮社に入社
雑誌「日の出」の編集者となる
谷譲次・林不忘・牧逸馬の死
光る長谷川伸の話術
偉丈夫、山岡荘八
漂泊の人、三上於菟吉
大樹、菊池寛
武田麟太郎、林芙美子
大衆雑誌の舞台裏の人たち
堤千代の『小指』に賭ける
生活の名人、川口松太郎
『人生劇場』の尾崎士郎
島木健作、子母沢寛、野呂栄太郎
永遠の青年、吉川英治
空想部落の人々と小島政二郎の周囲
原稿料の相場
しのび寄る戦時気分
新潮社の四十周年
ふたりの女流作家
真杉静枝の愛
近松秋江の執念
嵐の前の文学者
編集者生活の結末

著者等紹介

和田芳恵[ワダヨシエ]
1906・4・6~1977・10・5。小説家。北海道の生まれ。1931年(昭6)中大独法科卒業。新潮社に入社、『日本文学大辞典』編纂、「日の出」編集。編集のかたわら同人雑誌「山」創刊、「格闘」を発表し芥川賞候補となる。41年新潮社退社、『樋口一葉』を出版。その後も一葉研究を続け、全集の編纂他一葉関係の執筆に従う。56年『一葉の日記』(筑摩書房)で日本芸術院賞受賞、63年『塵の中』で直木賞受賞。著書に『接木の台』(読売文学賞)『暗い流れ』(日本文学大賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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佐島楓

62
編集者であり、のちに直木賞を受賞する作家となった著者の回想録。昭和初期の流行作家たちとの交流をあざやかに記録している。菊池寛、尾崎士郎、近松秋江らのエピソード、戦時下の雑誌事情など、興味深く読んだ。あらゆる意味でおおらかな時代があったものだ。2017/06/18

fseigojp

9
編集者の実際に見聞した昭和初期からの文壇事情2015/07/30

うさぎさん

3
著者を知っていたわけでもなく、ただ何となく手に取った作品ではあったが、タイミングも考えるといい巡り合わせだったと思う。 出版社が今の形を成し、文学も現在の在り方の血潮の源を成すような時代であり、そして戦争という困難な情勢も相まって、文学が作者と編集者にとってどのようなものであったのかを浮かび上がらせる。2016/05/28

rbyawa

1
i003、新潮社の「日の出」という大衆雑誌の編集者さんの戦前の覚え書きのような内容で、この手の本の中では一番読みやすかったんですが、あまり派手な逸話や極端な話が出てくることもなく淡々としてますし、なんというか当人に関わっていないことは全く触れていないので「非常に珍しい本」です…文学関係知らないことの解説が入ってる本がとても多いので…。しかし、ちょくちょく出てくる新潮社嫌いの作家って要するに「新潮」のほうの中村武羅夫氏との反目だよね多分…、なにしたの一体。それと講談社のキングを正面から褒めてるの珍しいよね。2018/04/05

yui_Angelica

0
元編集者である作家から見た過去の文壇事情。この手の本には珍しく、大衆小説と純文学系の世界がちゃんと繋がってる様子が書かれている。2018/01/05

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