出版社内容情報
「税の公平」はオレたちが守る! 潜入調査、張り込み、尾行、強制調査・・・・・・これが秘密のベールに包まれたマルサの真実だ!国税局査察部、通称マルサ。闇に潜んでいる資金に目を光らせ、時に経済社会の網の目をすり抜けようとするカネを引きずり上げるため、資金警察とも呼ばれている。
このマルサにまつわる話は、すべてが極秘である。
国税職員には国家公務員としての守秘義務と、国税通則法で定めた守秘義務の二重の制約があり、重い罰則が定められているからだ。そのため、国税職員は自分が携わった事案を誰にも話さずに墓場まで持っていく。
だがしかし、マルサの仕事が世に知られないのは、あまりにもったいない。もっと世に知られてよいはずだ、そう私は思う。
その理由の一つは、マルサの仕事を示すことで、「悪いヤツら」に立ち向かう使命感を読者と共有でき、それが結果として、悪いヤツらを排除する原動力となるからである。
「国税の最後の砦」と呼ばれ、しばしば嫌われ役となるマルサたちも、元をただせばサラリーマン集団だ。サラリーマンだからこそ、日頃から重税感を抱いている(あなたも重い税負担に不満を抱いていないだろうか)。
そしてマルサは、税制の不公平ぶりを他のサラリーマンよりもずっと知っている。きっちり源泉徴収されているサラリーマンの中でも、税に関するスペシャリストだからこそ、税を免れる者に対して強い敵意を燃やし、時に家族を犠牲にしながらも、日本の税制を守るというモチベーションがマルサにはある。
租税正義の実現のため、安月給で歯を食いしばって頑張っている「マルサの男」の姿を知ることで、脱税は社会公共敵であるということを思い返してほしい。
マルサが職人として、いかにして脱税の端緒を掴み、接触せずに大口、悪質の脱税を暴いていくのか? 刑事さながらの張り込みや尾行によって脱税を暴く、内偵調査のスリルをこれから伝えていきたい。
そのために、本書は実話に基づきながらも、刑事ドラマを見ているかのように、なるべく読みやすく脱税事件を追ったつもりだ。
脱税者の悪い手口の数々や、それを追うマルサのひたむきな姿を読み終える頃には、知らぬ間に、とっつきにくい税制についての理解が深まっているだろう(税制についての理解をさらに深められるよう、各話終わりごとに税に関するコラムも付記している)。 ――著者より
はじめに
マルサで使う主な「隠語」集
第一話「繁華街の帝王」篇――査察官は尾行する
コラム1 マイナンバーが炙り出した社会保険の未加入問題
第二話「原発から流れ出るカネ」篇――張り込みの妙味
コラム2 「クロヨン」と「トーゴーサンピン」
第三話「悪さをする約束手形」篇――上司との喧嘩、同期との競争
コラム3 節税、脱税、租税回避
第四話「FXとタックス・ヘイブン」篇――脱税の最新手口を見破れ!
コラム4 タックス・ヘイブンとパナマ文書
第五話「口座売買屋の暗躍」篇――マルサの女、そして家族
おわりに
上田 二郎[ウエダ ジロウ]
著・文・その他
目次
第1話 「繁華街の帝王」篇―査察官は尾行する(フィリピンパブでの出会い;『マルサの女』に描かれていないこと ほか)
第2話 「原発から流れ出るカネ」篇―張り込みの妙味(強制調査と税務調査;使途秘匿金とキックバック ほか)
第3話 「悪さをする約束手形」篇―上司との喧嘩、同期との競争(人事競争はつらいよ;小切手と約束手形 ほか)
第4話 「FXとタックス・ヘイブン」篇―最新の脱税手口を見破れ!(FXに気を付けろ!;海外取引は無法地帯 ほか)
第5話 「口座売買屋の暗躍」篇―マルサの女、そして家族(マルサの女の不幸;マルサの女のスカート ほか)
著者等紹介
上田二郎[ウエダジロウ]
1964年生まれ。東京都出身の税理士(上田二郎は筆名)。83年、東京国税局採用。千葉県内および東京都内の税務署勤務を経て、88年に東京国税局査察部に配属。その後、2007年に千葉県内の税務署の統括国税調査官として配属されるまでの合計17年間(途中、2年間の税務署勤務をはさむ)を、マルサの内偵調査部門で勤務した。09年、東京国税局を退職したが、再び税理士として税務の世界につながっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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