講談社現代新書<br> 「神道」の虚像と実像

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講談社現代新書
「神道」の虚像と実像

  • 井上 寛司【著】
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  • 講談社(2011/06発売)
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  • サイズ 新書判/ページ数 272p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784062881098
  • NDC分類 172
  • Cコード C0214

出版社内容情報

近年、内外で神道に対する興味と関心が大きく高まっています。原理主義の伸長などを背景に一神教の行き詰まりが論じられ、多神教的宗教のありかたへの見直しが始まっていること、靖国問題などをめぐって神社や神道があらためて問題とされ、その理解をめぐって種々の議論が展開されていることが要因でしょう。
さらに地球温暖化など環境問題の深刻化とも関わって、自然との共生という観点からアニミズムへの関心が、日本の神社や宗教のありかたに目を向けさせたといえます。
しかし、日本の神社・神道や日本の宗教についてこれまで論じてきた著作は、いずれも日本の宗教の一部に触れるに止まって、その全体を論じ得ていないのみならず、事実認識という点においても多くの誤りを含んでいます。
第一に柳田国男などの見解に基づいて、「神道」は日本固有の宗教であり、原始社会以来の自然発生的な宗教だとこれまで理解されてきましたが、むしろその起源は7世紀後半の古代律令制国家成立期に求められるべきです。たしかにアニミズム的信仰がこの列島を覆ってきましたが、いわゆる「神道」や「神社」は国号「日本」や「天皇」号同様に、中国からもたらされた律令法と一体をなす寺院や仏教に対抗し、「日本」の独自性を強調するための一環として創始されたものと考えなければなりません。
第二にその独自性の発展形態、単なるシンクレティズムでない「融通無碍な多神教」として中世以降の「神仏習合」を理解する必要があります。
第三に江戸期から近代における「国体」観と明治期の国家神道の成立をきちんと捉えなおさなければなりません。一言にしていえば「国家神道」とは世俗の国家権力によるコスモロジー(古代天皇神話に基づく宇宙観・世界観・国家観)の再編成と独占、それに基づく宗教統制及びその政治的利用にあり、それを象徴する宗教施設が靖国神社であり、それはまさに「国家神道」の象徴というべきものといえる、ということになるでしょう。
本書は神道の全体像とその変遷を正確に叙述し、読者に理解していただく最良のよすがとなります。


はじめに
第一章 「神社」の誕生──古代律令制国家の模索
 1 日本の律令制と神社は双生児である
 2 官国幣社制と神仏習合
 3 日本古代の宗教
第二章 「隔離」にもとづく「習合」──「神道」の成立
 1 顕密体制と神国思想
 2 二十二社・一宮制と中世の神社
 3 吉田神道の成立とキリスト教の伝来
第三章 近世国家と民衆──「神道」論の新たな展開
 1 幕藩制国家の成立とキリシタン
 2 宗教統制の実態
 3 儒学的「神道」論の発展
 4 国学そして国体論
第四章 宗教と非宗教のあいだ──「国家神道」をめぐって
 1 明治維新と祭政一致
 2 「信教の自由」論争
 3 帝国日本を支えるイデオロギー
第五章 戦後日本と「神道」──民族の「自画像」
 1 戦後における宗教構造の変容
 2 柳田「神道」論の問題点
 3 戦後史のなかの柳田「神道」論
むすびに


井上 寛司[イノウエ ヒロシ]
著・文・その他

内容説明

太古からの民族の信仰?それは幻想にすぎない。神道は三度「つくられた」!中世・近世・近代…。いったい誰が何を論じてきたのかを追う。

目次

第1章 「神社」の誕生―古代律令制国家の模索(日本の律令制と神社は双生児である;官国幣社制と神仏習合;日本古代の宗教)
第2章 「隔離」にもとづく「習合」―「神道」の成立(顕密体制と神国思想;二十二社・一宮制と中世の神社;吉田神道の成立とキリスト教の伝来)
第3章 近世国家と民衆―「神道」論の新たな展開(幕藩制国家の成立とキリシタン;宗教統制の実態;儒学的「神道」論の発展;国学そして国体論)
第4章 宗教と非宗教のあいだ―「国家神道」をめぐって(明治維新と祭政一致;「信教の自由」論争;帝国日本を支えるイデオロギー)
第5章 戦後日本と「神道」―民族の「自画像」(戦後における宗教構造の変容;柳田「神道」論の問題点;戦後史のなかの柳田「神道」論)

著者等紹介

井上寛司[イノウエヒロシ]
1941年、京都府京都市生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士課程中途退学。大阪大学文学部助手、島根大学文理学部(現・法文学部)助教授、同教授を経て退官。大阪工業大学情報科学部教授(1997~2007年)。島根大学・大阪工業大学名誉教授。専攻は日本中世史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

coolflat

17
柳田国男によって提起され、戦後の社会的常識として広く受け容れられてきた「神道は、太古の昔から現在に至るまで連綿と続く、自然発生的な日本固有の民族的宗教である」との理解が、いかに日本の歴史や宗教の実態に即していないかを指摘している。日本列島では6世紀の欽明・推古朝期から、百済経由で中国の先進文明を部分的に導入する事によって国家形成の動きを加速させていた。しかし唐帝国の成立と朝鮮半島における新羅の形成に伴って、これに対抗できる国家システムを構築しなければ、もはや倭の存立自体が困難という緊迫した情勢に直面した。2017/09/13

樋口佳之

17
いずれの時代においてもその中心的な位置を占めたのが、従来から理解されてきた「(民族的)宗教としての神道」とは異質な民衆統治のための政治支配思想(宗教的政治イデオロギー)というべきもので、「国家神道」もまたその系列に属しているということである。/かなりヘビーな内容を新書版に詰め込んでいます。しかし、神道に限らない「融通無碍な多神教」状態の生成過程の歴史を解いている内容に学ぶこと多でありました。2017/03/08

Kazuo

14
「神道」についての、これまでの学術研究の結果では「日本の神社や神祇信仰が太古の昔に成立し、今日まで変わることなくことなく連綿と伝えられてきたと理解されているが、そうした理解は明らかな事実誤認である」となる。著者の述べる通り日本の文化的傾向は「融通無碍」「多様性」といったものであろう。例えば、仏教は様々に分派し活動しているし、空手も多様な流派により、独自の活動を行っている。中央集権型の神社本庁中心の神道から、多様な「神道」が誠実に派生すれば、それこそが日本文化の特徴を備えた神道となりえるのではないか?2017/07/22

さえきかずひこ

13
統計では、2億人以上が何らかの信仰をもっているとされる本邦の信仰の実態は"融通無碍な多神教"であるとしその原因がメタ宗教としての国家神道政策と庶民の意識のズレにあり、敗戦後日本宗教全体が極端に習俗・慣習化したことを明晰に論じる良書。著者の専門は日本中世史だが、現代そして未来における神道のあり方を展望するにあたり、"太古の昔から連綿と続く自然発生的な日本固有の民族的宗教である"という誤った認識を強化した柳田国男≒GHQ≒梅原猛らの言説のイデオロギー性を厳しく吟味検討しておりとても読みごたえがあるのが嬉しい。2020/08/21

かふ

13
「神道」というものが日本人の古代から続く特別な民族宗教ではないことを歴史を辿りながら明快に述べている。最悪だった国家神道によって植民地侵略戦争を引き起こしたのだが、敗戦と共に神道や神社をどうするかという問題に1つの答えを与えたのが柳田国男だった。柳田国男は元からあったものは自然信仰によるカミ祭が神道の本質とすることで、国家神道と切り離して日本人の心の拠り所とした。しかしアニミズム的な祭儀は日本だけ特有なものでもない(文字文化以前の宗教は日本人だけ特別ではない)。2017/05/17

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