内容説明
100年を超える歴史の中で多くの名勝負を生み出してきた日本競馬界。しかし戦後は、血腥い事件が頻発していた。各地で開催される闇競馬は盛況を極め、治安の低下を招き、ヤクザたちの収入源となっていた。そして、お役所主義のJRA、人と人とのつながりがモノをいう古い体質の厩舎関係者は、これらの不都合な真実を隠蔽し、闇に葬り去ってきた。半世紀にわたり現場を検証し続けてきた著者が、移りゆく歴史の中で埋もれてきた数々の事件を初公開する。
目次
第1章 八百長事件に潜む闇
第2章 ノミ屋が中央競馬会を席巻した
第3章 疑惑の裁定
第4章 ライバル対決の歴史
第5章 名馬の人災
第6章 走る安馬と走らない高馬
第7章 競馬を巡る人間悲喜劇
第8章 競馬の謎
著者等紹介
渡辺敬一郎[ワタナベケイイチロウ]
1936年、千葉県に生まれる。早稲田大学文学部を中退。競馬評論家・大川慶次郎氏に師事し、競馬専門誌「ダービーニュース」編集長を務める。1966年に退社し、執筆活動を開始。日本推理作家協会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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うたまる
2
中央競馬会の競馬正史に対して、それには決して載らないダークサイドを満載した日本競馬の闇黒史。疑惑の裁定、馬主の横暴、政治との不適切な関係など、期待通りのトピックが並ぶ中、やはり白眉は八百長事件の数々だろう。そしてそのベスト(いや、ワーストか)が、GHQの米兵による勝ち馬を恫喝し変更させた事件。日本のヤクザすら可愛く見える堂々たるクズっぷりに、さすがアメリカ人、と感心した。また、競馬史を総覧しつつ競馬の魅力をさり気に解き明かしてくれてもいる。「不条理だから、不合理だから、賭ける」、そう、合理性からの解放だ。2016/07/23
こくまろ
0
JRAの正史には載らない日本競馬の物語。八百長、ノミ屋、コーチ屋、拾い屋、もちろんそういったネタもおもしろいんだけど、不遇の名馬や騎手、厩務員や馬主の人間模様なんかもおもしろかった。寺山修司についての記述も多い2012/02/12
ちーけん
0
ムラ社会である競馬界の裏を描いた本は多いが、ジャーナリスティックな視点からのものは少ない。本書は数少ないその例外。競馬サークル出身者には書きにくい、八百長やJRAの判定ミスなどの事件を詳細に、しかも文献に当たりつつ関係者の証言も取って再現する。写真判定の写真を「機械が作動しなかった」とJRAが強弁した誤判定事件や、某元人気ジョッキーの実名を出しての八百長事件などは、初めて読むことばかりでした。「戦後史」を名乗るだけの著者なりの“競馬史観”が本全体を貫いてるのも良。2010/08/10
せれ
0
ちょっと前の競馬は色々フリーダムだなあ。2009/05/05