内容説明
韓国ではソウルの繁華街でも軍服姿の若者に頻繁に出くわす。もちろん、彼らがおしゃれでミリタリー・ファッションを着こなしているわけではない。兵役中、外出許可をもらった訓練兵が、しばし羽を伸ばしている日常の光景なのだ。韓国男子の会話が「軍隊の話で始まりサッカーの話で終わる」といわれるのは何故か。そんな秘密が解ける強烈な逸話が満載。今は日本に住む元韓国陸軍兵長が、ほとんどの日本人が知らない、自らの地獄のような体験を激白。
目次
第1章 「陸軍議政府訓練所」編(訓練所入所「お前らは人間じゃねぇ!」;戦闘訓練開始「連帯責任は軍隊の基本である」;実弾射撃訓練その1「タマ出ないんスけどぉ」;実弾射撃訓練その2「事件はそれだけでは終わらなかった」 ほか)
第2章 「首都防衛司令部」編(配属部隊へ列車の旅「降ろされた所が配属先」;首都防衛司令部「機務司(キムサ)に配属決定」
配属されてなお恐怖の行軍訓練「白い服を着た白髪のばあさんを見た」
PX(売店)の使い方「100ウォン出して200ウォンの釣り?」 ほか)
著者等紹介
チュチュンヨン[チュチュンヨン]
1966年、ソウルに生まれる。カメラマンで、高円寺「写真BAR白&黒」のオーナー。1995年来日、以降広告・雑誌の撮影を中心に活動中。翻訳・通訳、コーディネーターを兼ねた韓国での撮影の仕事もこなす(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
lily
120
私が韓国人の男だったら、自殺組でも全然おかしくない。人間らしい思想と営みは消されるのだから。唯一の救いは、ご飯だけは十分に与えられるくらいだろうか。著者が軍隊で得たものは、忍耐力と冷静に考えることらしいが、そんなものはいつでもどこでも鍛えられるのだから、軍隊にこだわる理由は何もなさそうだ。韓国映画での情景と重なって読み物としてはとても面白かった。2020/03/11
nnpusnsn1945
10
光人社のよもやま物語シリーズと似た感じで、面白い所もつらい所も余さず描けている傑作である。旧軍同様しごきがきつく、「セミ」にいたっては旧陸軍そのままである。ネットで韓国軍を下に見ている記事もあるが、韓国軍について知るには本書もお勧めする。訓練中にお化けを見る、夜中にラーメンを先輩と食す、等は面白かった。しかし、著者が目撃した上官殺害事件の顛末は壮絶としか言いようがない。あとがきには兵役には二度と行きたくないとあった。国防は大事とて代償はあるのだろう。ちなみに、「シルミド」の感想も書いてあった。2020/10/12
MY
3
旅に持って行く文庫を図書館で選んでいたら見つけてしまい、、そのまま読了。日本にあったら、、?そんなこと考えたくないです。でも軍隊生活がよくわかって面白かったです。2014/05/09
ken123
3
Good! 高円寺にある「写真BAR白&黒」に立ち寄った際にこの本の著者に出会った。渡された名刺にこの本のことが小さく書いてあったので興味を惹かれ読んだ。昨今、韓国経済は伸びているが、ここ一番での力は徴兵によって培われたのかもしれないと思った。「一度行くのはいいかもしれない。でも二度と行きたくない。」なるほど、真理だろうと思う。A:またチュさんに会いに行く。2011/04/01
かす実
2
軍人は人間ではない、と言っていたのが印象的で、言ってしまえば人権がない。銃は命よりも大切だしお前らはいつでも殺せると教育されるし、新兵の教育係の軍人は、相手を人だと思わないためにために決して目を合わせないようにする、という話は恐ろしい。兵役中の自殺者の写真が見せしめにされる話とか。男性のほとんどが2.3年の間ホモソーシャルと規律化にどっぷり浸かった人間であることを考えると、そりゃ男女間の対立も深まるよなと思う。兵役を終えると学生運動をやめてしまう人が多い、という話も、何かを失っているように思えてしまう。2024/12/15
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