内容説明
経済力と技術力を武器に、東地中海沿岸部に次々と国際商業都市を建設した、海洋の民フェニキア人。オリエントの諸大国に脅かされながらも千数百年をしたたかに生き抜き、その一部は海の彼方にカルタゴを建国、地中海の覇者として君臨する。やがて彼らの前に、強大化した最後の敵・ローマが立ちはだかる。日本人研究者の手による初めての本格的フェニキア・カルタゴ通史。
目次
プロローグ―地中海史の中のカルタゴ
第1章 フェニキアの胎動
第2章 本土フェニキアの歴史
第3章 フェニキア人の西方展開―伝承と事実
第4章 カルタゴ海上「帝国」
第5章 上陸した「帝国」
第6章 カルタゴの宗教と社会
第7章 対ローマ戦への道
第8章 ハンニバル戦争
第9章 フェニキアの海の終わり
著者等紹介
栗田伸子[クリタノブコ]
1954年、北海道生まれ。東京大学文学部西洋史学科卒業、東京大学大学院人文科学研究科博士課程退学。専攻はローマ帝国と周辺地域に関する研究、北アフリカ史の中で見たカルタゴとローマ。東京学芸大学教授
佐藤育子[サトウイクコ]
1958年、富山県生まれ。日本女子大学文学部卒業。立教大学大学院文学研究科博士後期課程修了。専攻はフェニキア・カルタゴ史。フェニキア語・ポエニ語からのカルタゴ史の再構成を試みる。日本女子大学学術研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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めぐみこ
3
ローマ人の物語シリーズでカルタゴについて興味を持ったので読んでみた。最初の方が人や出来事がごちゃっとしてたり時代が行ったり来たりしてわかりにくかったが、ページが進むにつれて面白くなっていった。ポエニ戦争を塩野さんとは違う視点から見ることができて良かった。2010/09/17
てり
2
聖書時代の古代から地中海東岸のフェニキア人都市、そしてカルタゴ。カルタゴ以前のフェニキア人のこともしっかり解説されていて、イスラエル王国との関係など興味深く読めた。最終的にカルタゴが滅ぼされるまでの記述は胸に迫るものがあった。彼らの絶望いかばかりか。2022/09/30
(ま)
2
アルファベットを発明し存在の証明が旧約聖書のカナンの地のフェニキア人が地中海に商業ネットワークを作る中、牛の皮一枚の詐欺でカルタゴに植民してローマに亡ぼされるまでの栄華と悲哀、権謀術策の歴史2021/10/21
fantamys
1
神話の時代が現実味をもって立ち現れてくる。2018/01/17
tsuitsui
1
「地中海の女王」カルタゴについてまとめた本としては唯一の本。通常のローマ史とは別の視点で面白いです。「海が罪をおかさせるのだ」という言葉が深い。カルタゴは生まれも終わりも女性と宗教に彩られているどころに歴史の運命を感じました。また敵のローマも末期はキリスト教にすがるだけでグダグダですよね。 一方古代の国家がいかに宗教に依拠し人をまとめていたか、また古代の戦争の虐殺の数々には普遍的なものを感じました。 ただ商売に励み海を駆け巡る当時の姿を想像すると、今のチュニジア動乱を含め平和が一番だと思いました2013/11/15
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