講談社文庫<br> ミッドウェイ

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講談社文庫
ミッドウェイ

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  • サイズ 文庫判/ページ数 615p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062778732
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

想いを抱く女性の面影を振り払い、太平洋戦争の分岐点となった激戦の空に、日米の若者たちの運命が交錯する。戦記小説、迫真の傑作。詩人になりたかった降旗圭は、戦時へと突き進む時局に背中を押されるように、江田島の海軍兵学校に進んだ。軍人の世を憎み、彼に詩の話をしてくれた憧れの女性弓枝は、特高に捕らわれ死を選んだ。海軍将校への世間の憧れとは裏腹に、鉄拳で鋳型にはめられる日々。降旗はそれに耐え抜き、零戦パイロットになるべく霞ヶ浦航空隊へ進む。
サンフランシスコのロバート・ウッドは、日本人女性の寛子に心奪われる。だが、二人を引き裂くように、寛子の一家は日本に帰国することになった。弓枝と面影の似た寛子と、降旗は休暇中の横浜で出会い、出撃前の束の間、二人は恋仲となった。そして寛子を自家用機に載せたことのあるロバートもまた、戦闘機乗りへの道を選んでいた。
ハワイ真珠湾攻撃以降、戦局を優勢にすすめていた日本海軍は、レーダー網のない虚を衝かれて、本土空襲を浴びる。日本の空軍力を目の当たりにし、アメリカは戦艦から空母への転換を急ぎ進めていた。初の空母同士の対決となった珊瑚海海戦を経て、日本海軍はアメリカ太平洋艦隊を叩くため、ミッドウェイ沖に空母四隻を進めた。
だが序盤の戦いで蒼龍、加賀、赤城を次々に失い、空母は飛龍を残すのみとなった日本海軍は、手負いの空母ヨークタウンに狙いを定め、零戦や爆撃機を発進させるのだった。
飛龍の零戦部隊には降旗が、ヨークタウンの戦闘機にはロバートが生き残っていた。同じ女性と出会った互いのことなど知らない日米の若い戦闘機乗りは、両軍死力を尽くした戦闘の空に身を投じるほかなかった……。
太平洋戦争の戦火の中に散っていった若者たちの夢。迫真の戦記小説。

プロローグ
艶麗な拒否
復讐受験
継続した転向
逆行する潮流
青春の聖域
過保護の手当
最後の夜景
許されざる卒業
よみがえらざる夜景
瓜二つの女神
死を予感した詩
天への投身
要視察の裏切り
若者の義務
ぜいたくは素敵
幻影との交わり
美しい凶器
実体のない性媒
面目のための時間
操縦桿を握った鬼
私生児の勝利
播種された妻
晒された女神
火矢の一本
死装への転換
火のカーテン
浮かぶ熔鉱炉
免刑なき死刑台
国の破片
ただ一編の詩
終章
主要参考文献


森村 誠一[モリムラ セイイチ]
著・文・その他

内容説明

戦雲急な時代、詩人を志しながら海軍兵学校へと進み世界最強の零戦搭乗員になった降旗。日米開戦は同じ女性を愛したロバートと降旗を敵味方に分けた。戦争は若者の恋も青春の夢も容赦なく叩きつぶす。彼らは何のために生き、何のために死んだのか。ミッドウェイ海戦に命を賭けた防人たちを描く鎮魂の大作。

著者等紹介

森村誠一[モリムラセイイチ]
1933年埼玉県熊谷市生まれ。青山学院大学卒。9年余のホテルマン生活を経て、1969年に『高層の死角』で江戸川乱歩賞を、1973年に『腐蝕の構造』で日本推理作家協会賞を受賞。1976年、『人間の証明』でブームを巻き起こし全国を席捲、『悪魔の飽食』で731部隊を告発して国際的な反響を得た。『忠臣蔵』など時代小説も手がけ、精力的な執筆活動を行なっている。2004年、第7回日本ミステリー文学大賞を受賞。デジカメ片手に俳句を起こす表現方法「写真俳句」も提唱している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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absinthe

116
史実のミッドウェー海戦は、千載一遇のチャンスに空母が爆撃されたり、その時偶然に甲板に爆弾が並べられていたり、偶然に迷った米軍爆撃機の進行方向に日本空母がいたり、偶然に一番重要だった日本偵察機の発進が遅れたり、戦いの中の偶然がいかに危険か思い知らされるものでもある。 作者の作為で、登場人物に余りに多くの偶然を加えたので、史実の偶然が薄められてしまったのは残念である。 作者の意気込みは伝わってきたが。

koba

98
★★☆☆☆2015/04/19

いーたん

32
『集団的自衛権に揺れる日本人のすべてに』帯に書かれたこの一文を目にした時に、この1冊は必ず読まなければならないように感じました。この作品の舞台は太平洋戦争の分水嶺となったミッドウェイの戦いです。主人公や主人公に近い人物は作者の創作ですが、日本海軍司令部や米国上層部は、作者がまるで見てきて書いたようなそんな臨場感を感じました。作者が終章で『国家の目的によって個人の可能性を踏みつぶされた若者の無念さ』に焦点をあてたとあります。集団的自衛権の是非はともかく軍事力の文民統制の原則を国民が忘れてはならないと思います2015/01/02

26
凄い長編を読みました。途中から小説だってのを忘れるぐらい。ミッドウェー海戦や真珠湾のシーンは細部まで本当にリアル。山口少将や山本五十六の会話は本当にそんなふうに言ってたんだろうなと思います。フィクションの部分では最期まで降旗くんは自分の思いを叶えられず意思とは違う軍人生命をまっとうした感じで救いようがない。寛子が個人的には危なっかしくて隙だらけで共感出来ず。色んな男にふらふらしすぎです。坂上くん良かったです!あと、作者の思いが詰まった終章が素晴らしかったです。2014/10/13

トールパパ

17
反戦、護憲のゴリゴリの左翼作家のイメージがある(自分だけ?)森村氏だが、本書は少し趣を異にしている。作中の梅村弓枝は、まるで作者のイメージをディフォルメしたようなキャラクターで共感できないが、終章の次の氏の問いかけは胸を打つ。「死んでいった若者たちが、見せかけの自由と繁栄の中で高度の物質文明の毒に腐った現代を見るとき、果たして満足してくれるか甚だ疑問である。俺達はこんな世の中の肥やしになるために死んで行ったのではないと言うかもしれない。」推理作家らしく、シーンや登場人物が複雑に絡み合う様は面白い。2014/09/01

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