出版社内容情報
今野 敏[コンノ ビン]
著・文・その他
内容説明
現場は検察の暴走を止められるのか?エリート検事は殺人事件を異例の陣頭指揮と鑑識結果の強引な解釈で早期解決を強行する。疑念を抱く捜査一課の若手・菊川と所轄のベテラン・滝下は独断で動き始める。拘束された被疑者が“落ちる”までに二人は証拠を捜し出せるのか!?「ST警視庁科学特捜班」シリーズ、序章。
著者等紹介
今野敏[コンノビン]
1955年北海道三笠市生まれ。上智大学在学中の1978年『怪物が街にやってくる』(現在、朝日文庫より刊行)で問題小説新人賞受賞。卒業後、レコード会社勤務を経て作家となる。2006年『隠蔽捜査』(新潮社)で吉川英治文学新人賞受賞。2008年『果断 隠蔽捜査2』(新潮社)で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞受賞。「空手道今野塾」を主宰し、空手、棒術を指導(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
101
STシリーズのエピソード0ということで、STができるきっかけとなる事件に菊川と三枝が関係します。メンバーは出てこないのですが、検事が直接指揮をとっての事件解決を早期に終わらせようとします。それに対して現場の地道な証拠集めなどで対決する刑事たちの状況を見ていると自然にSTがいたらなあと感じさせてくれます。2015/09/05
セウテス
89
【警視庁STシリーズ】第12弾。物語は、まだSTが出来る以前の事件であり、若き三枝と菊川が主役だ。ある殺人事件の捜査に三枝と菊川は携わるが、その捜査本部にやり手と評判の検事が乗り込み、自ら指揮を取り出す。早く事件を解決し自分の有能をアピールしたい検事で、状況証拠と自白のみで起訴へと突き進む。冤罪を防ぎ、科学的証拠の重要性から、何故STが生まれてきたのかを語る物語。正しくエピソード0であるが、検察への批判と骨太の刑事小説を堪能出来る。限られた時間の中、僅かな手掛かりを追いかけるサスペンス感も良く一気読みだ。2021/01/20
がたやぴん
81
化合。つまり化学変化。三枝や菊川の心に変化をもたらした事件なのだろう。主役は菊川。先輩刑事と共に、検事が描いた事件の筋を覆す。自白から送検へと急ぐ検事、日和見な幹部をよそに現場の刑事達は真犯人へと迫る。時効真近の話でもないのにスピード感が凄い。対立軸に権力があることで時間的制約をつくりだしている。シリーズのスピンオフだが菊川の先輩刑事滝下こそ真の主役。彼の捜査がもっと読みたい。2015/12/09
白きゅま
61
約2年振りの今野敏作品。TVドラマで、田中哲司演じる菊川吾郎と渡部篤郎演じる三枝俊郎の若かりし頃の話しで、STが結成されるきっかけとなった作品でした(^^)/読後は、検事の捜査に対する方針次第で、検事は「HERO」にも「悪魔」にもなるのかなぁということを強く感じた作品でした!また冤罪を生む様子を垣間見た感じで、途中は少しハラハラしましたが、そこは今野敏、上手く事件を解決して、スッキリさせてくれました!続きが気になるシリーズ作品です(^-^)14-602014/08/21
saga
53
ST結成の前日譚であり、菊川を主役にした外伝である。超人的能力を持つSTの娯楽性はなく、由緒正しい警察小説に仕上がっている。「日本の刑事裁判における有罪率は99.9%」これはTVドラマ『99.9』でのオープニングナレーションにもなっている。検察の暴走による冤罪事件を、本書は刑事達が阻止すべく奮闘する。三枝がまだ警部補、菊川は捜査一課配属1年程と初々しい。捜査本部で菊川と組んだ所轄の滝下が、その後の菊川に与えた影響はかなり大きかったんだな~、という設定にニヤリ。2021/03/18