出版社内容情報
高嶋 哲夫[タカシマ テツオ]
著・文・その他
内容説明
二〇××年、中国でサッカー・ワールドカップが開催された。しかし、スタジアムから遠く離れた雲南省で致死率六〇%の強毒性インフルエンザが出現!中国当局の封じ込めも破綻し、恐怖のウイルスがついに日本へと向かった。検疫が破られ都内にも患者が発生。生き残りを賭け、空前絶後の“東京封鎖”作戦が始まった。
著者等紹介
高嶋哲夫[タカシマテツオ]
1949年、岡山県玉野市生まれ。慶應義塾大学工学部卒業。同大学院修士課程修了。日本原子力研究所(現日本原子力研究開発機構)研究員を経て、カリフォルニア大学に留学。’79年、日本原子力学会技術賞受賞。’94年、『メルトダウン』(講談社文庫)で第1回小説現代推理新人賞、’99年、『イントゥルーダー』(文春文庫)で第16回サントリーミステリー大賞・読者賞をダブル受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鉄之助
363
表紙に薄く印刷された「PANDEMIC」。10年前はまだ一般的な言葉でなかったため、『首都感染』をメインタイトルにした、と著者は語っている。まさに、現代の世界危機を見ているような「予言小説」だった。「不要不急の外出をやめよう」とか、アナウンサーも感染したりトイレットペーパーの買い占めのシーンも登場する。小説の設定では、全世界71億人の人口のうち、80%にもあたる56億8000万人が感染して何と22%の12億人余りが死亡する。このような最悪の状態にならないためには…。私たち一人一人が試されている。2020/04/20
みも
200
凄い。小説と事実が混淆し、僕の中で混乱が生じるほど現況と酷似。COVID-19パンデミック以前に読んでいたら、とても作者の警鐘として受容し難く、むしろ事態の変遷や政府の対応、更に世界的な経済活動停止など、非現実的だな…そう思ったに違いない。今まさに、ここに描かれた恐ろしい事態が現実となっている。イタリアやスペインの感染・死亡の加速度、また、大都市の封鎖や欧米諸国での外出禁止令や世界各国の渡航制限、世界的株価の暴落や医療崩壊にも言及している。これが強毒性でエボラ出血熱並みに致死率が高かったら…想像を絶する。2020/03/22
はにこ
189
もしこの本を一年前に読んでいたとしたら、こんな恐ろしいことあったら困ると他人事として感じただろう。しかしコロナ禍の今、この本に書かれていることはもう10ヶ月以上続くコロナと人類との戦いの記録とも思えてくる。その本が10年前に出版されたことに非常に驚く。未だ終息を見せないコロナ。しかし遠すぎない未来に皆と寄り添って暮らせる日々を望まずにはいられない。2020/11/18
タイ子
164
いろんな意味で恐れおののいた作品。10年前に刊行されたにも関わらず、現在日本が直面している危機的状況に似通う部分があまりにも多すぎる。中国でワールドカップが開催される最中、新型ウイルスが蔓延し始める。中国の危機感のなさが被害を大きくし、やがては世界中に広がる怖さ。日本では元WHO感染症対策のエキスパート医師の瀬戸崎優司が東京を完全封鎖する案を首相に提案。強毒性ウイルスと医師、看護師、国家の闘いが始まる。小説なので時にドラマティックな部分もありながらも日本の今なすべき事が示唆される作品。高嶋さん凄いな。2020/03/31
しげき
137
小説に描かれてる世界は、まさに今の世界で起こっている事だった。リンクしている点が多く、10年前の作品とは思えなかった。この小説では致死率60%のインフルエンザだから、現実の世界よりはさらに深刻な状況だった。近い将来このようなウイルスも現れたら、と思うとゾッとする。備えは大雨や地震などの災害だけじゃないと痛感した。 因みにこの物語に出てくる総理は決断、実行が早くて素晴らしいと思った。2020/05/05
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