出版社内容情報
渡辺 淳一[ワタナベ ジュンイチ]
著・文・その他
内容説明
学問のためという一念で、妻の肉体を人体実験に供する町医者。未知の分野であった人体解剖の彩色図を、憑かれたように描く絵師。娼館設置をめぐり、ロシア人に遊女たちの性病検査を迫られ苦慮する長崎奉行所の役人。幕末から明治にかける近代日本黎明期の医学秘話五篇を収録。第十四回吉川英治文学賞受賞作品。
著者等紹介
渡辺淳一[ワタナベジュンイチ]
1933年北海道生まれ。札幌医科大学卒。整形外科医ののち、『光と影』で直木賞を受賞。’80年『遠き落日』『長崎ロシア遊女館』で吉川英治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かんちゃん
12
渡辺淳一さん初読。思っていたより実直な文体に驚き。小説というには物語性は少なく、思わずノンフィクションかと思わせる。江戸末期の医療を窺い知ることができる。へ〜、意外な作風。2015/01/19
くり坊
11
『遠き落日』の頃の渡辺淳一の短編集。この頃の作品がすきだな。歴史評伝風の作りなのに、しっかりフィクションに物語る小説家魂に溢れていて、とんとんと読める。一作か二作、再読のような気もするが記憶があいまい。今回初読だった「項の貌」が印象的だった。2014/08/16
いぼいのしし
4
さすがに元医師だけあって、ルポルタージュを読んでいるみたいだった。読みやすく思ったよりおもしろかった。2016/01/08
もくもく
4
もともと医学史が好きでした。日本の医学史の中では、やはり西洋医学の洪水に翻弄される江戸中期~幕末の様子が最も興味深いです。本書では、娼婦の検梅(梅毒検査)、腑分(人体解剖)の絵師、種痘術、産褥(周産期管理)などについて、医学史的な重要ポイントを押さえつつ、小説的興味も大いに掻きたててくれる短編に仕上がっています。一遍『項の貌』だけは「首斬り浅右衛門」一族の高度な斬首の技術を解剖学的に分析・考察したもので、ちょっと毛色の変わった作品でした。渡辺氏逝去の知らせに接して再読した本書ですが大いに面白かったです。2014/05/07
ナツ
3
まるでノンフィクションのような小説。医学がテーマの短編集。 特に産後の入浴開始時期や解剖図の作成がテーマの話が面白い!2022/09/17
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