出版社内容情報
終戦の夏、父はなぜ洪水の川に船出したのか? ノーベル賞作家が生涯をかけて模索してきた「父の水死」という主題をめぐる長編小説。母の死後10年を経て、父の資料が詰め込まれている「赤革のトランク」が遺言によって引き渡されるのを機に、生涯の主題だった「水死小説」に取り組む作家・長江古義人(ちょうこうこぎと)。そこに彼の作品を演劇化してきた劇団「穴居人(ザ・ケイヴ・マン)」の女優ウナイコが現れて協同作業を申し入れる。「森」の神話と現代史を結ぶ長編小説。
自らが10歳の時に体験した出来事から夢想しながら、宙吊りのままだった「水死小説」に挑む老作家と、その「晩年の仕事(レイト・ワーク)」に寄り添う芝居を演出する女優ウナイコの道中の行方は?
第一部 「水死小説」
序章 冗談
第一章 「穴居人」来たる
第二章 演劇版『みずから我が涙をぬぐいたまう日』のリハーサル
第三章 「赤革のトランク」
第四章 冗談はつらぬかれた
第五章 大眩暈
第二部 女たちが優位に立つ
第六章 「死んだ犬を投げる」芝居
第七章 余波は続く
第八章 大黄
第九章 「晩年の仕事」
第十章 記憶あるいは夢の訂正
第十一章 父は『金枝篇』に何を読み取ろうとしていたか?
第三部 こんな切れっぱしでわたしはわたしの崩壊を支えてきた
第十二章 コギーの伝記と憑坐
第十三章 「マクベス問題」
第十四章 あらゆる手続きが演劇化される
第十五章 殉死
大江 健三郎[オオエ ケンザブロウ]
著・文・その他
内容説明
母の死後10年を経て、父の資料が詰め込まれている「赤革のトランク」が遺言によって引き渡されるのを機に、生涯の主題だった「水死小説」に取り組む作家・長江古義人。そこに彼の作品を演劇化してきた劇団「穴居人」の女優ウナイコが現れて協同作業を申し入れる。「森」の神話と現代史を結ぶ長編小説。
著者等紹介
大江健三郎[オオエケンザブロウ]
1935年愛媛県生まれ。東京大学文学部仏文学科卒業。大学在学中の’57年「奇妙な仕事」で東大五月祭賞を受賞する。以後、’58年「飼育」で芥川賞、’64年『個人的な体験』で新潮社文学賞、’67年『万延元年のフットボール』で谷崎潤一郎賞、’73年『洪水は我が魂に及び』で野間文芸賞、’83年『「雨の木」を聴く女たち』で読売文学賞、『新しい人よ眼ざめよ』で大佛次郎賞、’84年「河馬に噛まれる」で川端康成文学賞、’90年『人生の親戚』で伊藤整文学賞をそれぞれ受賞。’94年ノーベル文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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