出版社内容情報
ともしびスーパーマーケットを行き交うさまざまな人生。その人生もまた交わり合う。平凡な日常に点る小さな灯りを描いたほろ苦い物語
ともしびスーパーマーケットを行き交うさまざまな人生。その人生もまた交わり合う。平凡な日常に点る小さな灯りを描いたほろ苦い物語
内容説明
誰もが名も無き日常を、諦めと期待の中で生きている―ともしびスーパーマーケット鳥居前店の買い物客も従業員も、彼らの帰宅を待つ家族も、遠くから想う恋人も。そして退屈は前触れもなく破られ、ドラマは否応なしに始まる。割り切れない感情の波を選び抜かれた言葉で描いた、静かな高揚感に包まれた物語。
著者等紹介
朝倉かすみ[アサクラカスミ]
1960年、北海道生まれ。北海道武蔵女子短期大学卒業。2003年「コマドリさんのこと」で第37回北海道新聞文学賞、’04年「肝、焼ける」で第72回小説現代新人賞、’09年『田村はまだか』で第30回吉川英治文学新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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いたろう
72
9編の短編集。「肝、焼ける」で、小説現代新人賞を受賞したばかりで、本をまだ出していない頃に、出版のあてもなく書いたという作品。札幌にあるスーパー、ともしびマーケット鳥居前店を中心に、登場人物で繋がる連作短編。札幌の鳥居前という一画、動物園、公園が近くにあるということで、円山公園の辺りが舞台と思われる。前の短編で背景のようにちょっとだけ出てきた人物が、その後の短編で中心人物になったり、短編の中心人物だった人が、他の短編でちょっとだけ登場したり。そして、ラストのあり得ないような総集合が、舞台劇のようで楽しい。2020/04/11
真理そら
56
ともしびマーケット鳥居前店で働いたり買い物に来たりする人々を描いた9編からなる連作短編集。普通の人の生活の断片が描かれているはずだが、どの人生も普通ではないかもしれない。たぶん人間の数だけドラマがあるってことかも。2022/10/12
紫綺
40
単行本にて読了。人間観察が鋭い。2013/07/05
エドワード
37
正しくは「ともしびスーパーマーケット鳥居前店」を中心に人々がつながるナイン・ストーリーズ。朝倉さんがあとがきで「掲載するあてもない、トレーニングのようなもの」と書く脱力感こそが魅力だ。ご近所物語、青春、熟年夫婦、別れた家族。異なる雰囲気の各章。精肉職人の清野さん、ブリキ職人の後町さんの不器用な人生はホロリと苦い。作家にしろ、サッカー選手にしろ(ダジャレだな)、親父に「やっていけるのか」と問われたら「わからないよ、そんなこと」と答えるしかないよね。そこでの親父の言葉が「いいな、おまえ」である所が好きだよ。2022/04/10
アイゼナハ@灯れ松明の火
37
何だろう?とても、いや、すごーく良かった。ともしびマーケット鳥居前店のお客様でつながる9つの連作短篇たち。自分もそうであるように、スーパーですれ違う人たちの、きっと一人一人にもドラマがあって、何かの拍子に交わったり、やっぱりすれ違っていたりする。こんな当たり前のことに今更心が動いてしまうとは…気づかなかったけど少し今、肩に力が入っているのかもしれないなぁ。話と話の距離感が今の自分にぴったりだったのかも(ま、最終話は別にしてw)『私』で少し気持ちが楽になりました。自然体で、いいんだよね。2012/06/28
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