出版社内容情報
浅田 次郎[アサダ ジロウ]
著・文・その他
内容説明
大いなる母・西太后を喪い、清王朝の混迷は極まる。国内の革命勢力の蜂起と諸外国の圧力に対処するため、一度は追放された袁世凱が北京に呼び戻される。一方、満洲を支配する張作霖は有能なブレーン・王永江を得て、名実ともに「東北王」となる。幼き皇帝溥儀に襲い掛かる革命の嵐の中、ついに清朝は滅亡する。
著者等紹介
浅田次郎[アサダジロウ]
1951年東京都生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で吉川英治文学新人賞、1997年『鉄道員』で直木賞、2000年『壬生義士伝』で柴田錬三郎賞、2006年『お腹召しませ』で中央公論文芸賞、司馬遼太郎賞、2008年には本作品で吉川英治文学賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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W-G
357
他の方のレビューを見ると、この巻は中弛みというか、読みづらくてなかなか進まないようだ。たしかに、吉永の日記部分は少し苦痛。せっかくだからちゃんと読まねばと頑張っても、その後すぐに、別に斜め読みしてもよかったとわかるので二倍疲れる。溥儀の存在感がいまいち立っていないところもガッカリなポイント。しかし、溥儀に関してはここから先の作品で大化けする可能性もまだ捨てていない。王吉永の台頭や、徐世昌との別れなど、馬賊サイドは名場面も多い。残り一巻、張作霖の死まではいかずに終わりそう。2021/08/19
遥かなる想い
146
西太后亡き後の袁世凱・張作霖を描いた巻。私の中ではあまり印象のよくない袁世凱も張作霖の圧倒的な存在感の前には、かすんでしまう感じである。日本史では張作霖爆破事件で少し習ったぐらいだったが、東北省を支配下におさめていくその馬賊軍団を印象的に描写している。2011/04/16
KAZOO
133
前作で西太后が亡くなりますが、この巻では清帝国そのものがなくなってしまいます。追放されていた袁世凱が国内の革命勢力や虎視眈々とその後を狙う諸外国への対応から呼び戻されたりします。また張作霖は満州の支配者となりその状況を清の三代目の順治帝が権力を握ることとなった状況と絡めながら説明しています。また張作霖の参謀となる人物も存在感があります。2025/01/19
たいぱぱ
94
昔、映画で観たラストエンペラー・愛新覚羅溥儀登場。「ロマンチックも度が過ぎるとクレイジーだろう」作中に登場する日本人記者・岡の台詞だが、それでも僕は浅田次郎がロマンチックも度が過ぎる程脚色したこの物語を愛します。梁文秀と玲々の日本での生活に胸がいっぱいになる。そこに訪ねてきた青年の名に興奮し、青年の口から語られた恩師の名に涙が出る。馬賊になった春雷が知る弟・春児の今。ロマンチック万歳、浅田次郎万歳。「満州の風に聴け」おのれを産み育くんだ風や大地を愛し、常に共にあること、それが正義だ。張作霖の正義の行方は…2022/06/10
Die-Go
93
図書館本。中国の清代の末期から中華民国立国の過程。3巻に入り、『蒼穹の昴』と比べると飛ぶようには読めず、若干苦労した。しかし、展開としては前巻に続いて急展開。最終巻ではどのような結末を迎えるのか。★★★☆☆2020/08/08