出版社内容情報
Xシリーズ、待望の開幕!
行方の知れない兄と、凄絶なまでに美しい双子、そして後妻。周囲から時間が消えたような屋敷に今、血腥い風が吹く。
黒髪の佳人、佐竹千鶴は椙田探偵事務所を訪れて、こう切り出した。「私の兄を捜していただきたいのです」。双子の妹、千春とともに都心の広大な旧家に暮らすが、兄の鎮夫は母屋の地下牢に幽閉されているのだという。椙田の助手、小川と真鍋が調査に向かうが、謎は深まるばかり――。Xシリーズ、文庫化始動!
プロローグ
第1章 美しき囚われ人
第2章 闇と血の消散
第3章 黙する紫の花
第4章 白き頬に赤き唇
第5章 香しき思慕の末
エピローグ
森 博嗣[モリ ヒロシ]
著・文・その他
内容説明
黒髪の佳人、佐竹千鶴は椙田探偵事務所を訪れて、こう切り出した。「私の兄を捜していただきたいのです」。双子の妹、千春とともに都心の広大な旧家に暮らすが、兄の鎮夫は母屋の地下牢に幽閉されているのだという。椙田の助手、小川と真鍋が調査に向かうが、謎は深まるばかり―。Xシリーズ、文庫化始動。
著者等紹介
森博嗣[モリヒロシ]
1957年愛知県生まれ。工学博士。某国立大学の工学部助教授の傍ら1996年、『すべてがFになる』(講談社文庫)で第1回メフィスト賞を受賞し、衝撃デビュー。以後、犀川助教授・西之園萌絵のS&Mシリーズや瀬在丸紅子たちのVシリーズなどで活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
186
資産家の屋敷の離れに住む美しい娘たち。幼き頃に母親から殺されたとされる兄が地下牢に監禁されているとの噂。そして森の奥にいる物云えぬ下男に地下牢へと通ずる地下道がある。これだけおどろおどろしいモチーフと業の深い家族と云えば横溝ミステリを想起するが、森ミステリは同種の材料を扱っても決してドロドロしたものにならず、さらりとした肌触りを保って展開していくのだから不思議だ。それぞれの家庭や家族、一族の因習や事情、掟などは他者には十分に理解できないものだろうから深く掘り下げても仕方がないと云ったスタンスだからだろう。2023/07/09
nobby
133
Xシリーズ①これは何とも軽いなぁ…椙田さんの正体知って読むとニヤリだけど、出番がほとんど電話のみってのがスゴい!ラスト時系列で繋がる美女の登場に脅え過ぎ(笑)古き広大な屋敷の地下牢に幽閉された戸籍上は亡き兄探しなんて身近でないけど深みのあまりない依頼に挑むのは探偵助手2人。あまり含みを残さずに思いついたこと口にしてるのが好印象。小気味よく辿り着いた事実は一捻り感じるものの曖昧を残すのが特徴なのかな。そして、もう1人の探偵はあの人で合ってる!?まだまだ作風や他作品との関わり方が全く分からないけど楽しめそう♬2023/01/11
aoringo
90
広大なお屋敷の地下牢で死んでいた一人の女。鍵も掛けられており、いわゆる密室状態。犯人は最後まで分からなくて驚きもあったけど動機は一体何だったのだろう?大富豪の考えることは一般人には理解できないということか。Xシリーズ第一作目、ラストであの人がちらりと登場。キャラクターも魅力的だし続きも読んでいこう。2022/09/16
おたま
82
Gシリーズを読んでいて、ふと気が付いた。並行してこのXシリーズは書き進められているということ。森博嗣のミステリーは、どうも発表された時系列に沿って読んだ方がよいことは、これまでのシリーズで分かっていたので、しばらくはXの方に切り替え。物語は大きな古いお屋敷の、その地下牢に、亡くなった兄が生きているという、それに関して調査してほしいというおどろおどろしい依頼から始まる。このシリーズでは鷹知、真鍋、小川といった面々が探偵役のようだが、どうなっていくのかまた楽しみだ。わりとちゃんとした(?)ミステリーだった。2023/08/04
KAKAPO
77
Gシリーズは、ギリシャ文字による各巻の繋がり、インターネットからの勧誘が疑われる連続自殺、背景に横たわる宗教の影など社会問題との関係を感じさせる物語であるが、Xシリーズは、小さく閉じだ世界で起こる奇怪な事件を扱ったものだ。それは、読者が感じた通りのものなのか、それとも壮大な物語に繋げるために、読者を欺く表向きだけのものなのか、現時点では分からない。いずれにしても、主人公たちに直接危険が降りかからないGシリーズに比べ、緊張感とスピード感が加わった展開が手軽に楽しめる。徐々にキャラクターも際立ってゆくはずだ。2016/09/05