出版社内容情報
戦争を生き抜いた著者がつづる生と死の物語
戦記ドキュメンタリー完全復刻!
昭和19年、南太平洋ニューブリテン島中部、部隊は壊滅的打撃を受けたものの、ひとり生き延び、仲間の鈴木と合流することに成功する。そして断崖を通り抜け道なき道を進み、敗走を続けた。敵に追われ、飢えや渇き、暑さに苦しみながらも九死に一生を得た著者が綴る、生と死の物語。戦記漫画の傑作を6編収録。
※本書は1991年11月に株式会社コミックスより刊行されました。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
125
老眼鏡を替えてからの1冊目。コミックの文庫本化なので字が小さいので助かった。この本は6編とあとがきで構成されている。最初の『敗走記』はほぼ事実ということあとは一部フィクションとして書かれているとあとがきに書かれていた。水木さん自身も南方で従軍していので凄みが伝わってくる。あの戦争が終わってから今年で71年。あの戦争って何?という声が聞かれたりもする頃だし実体験された人も国民の1割か2割だと思う。あの戦争がもしなかったら日本の文化や技術はどうなっていたのか時々考えるこの頃・・・2021/07/20
読特
68
「戦争は人間を悪魔にする 戦争をこの地上からなくさないかぎり地上は天国になりえない」…前線に送られる。否応なく戦う。現地の人が暮らす生活圏を戦場にする。彼らも巻き込む。敵に通じるスパイか。時に命を奪う。劣勢になる。補給がままらない。食料が不足する。敵が迫る。部隊は崩壊し、命からがら抜け出す。生き残れるのは万分の一の偶然の重なり。逃げ帰っても迎えは冷たい。敗戦後は裁判にかけられる。犯罪者として追われる。囚われて執行される。…敗走。身を持って体験された方の言葉は重い。戦後80年。忘れ去られることのなきように。2025/01/06
あたびー
49
水木先生の戦記物集。舞台となる場所はすべて南方で、実話やそれに近い話が含まれているという。戦後捕虜として収容所に収監されていた日本人が「生きて虜囚の辱めを受けず」の教育が徹底されていたために、自責の念に耐えかねて次々と自殺したという話は、当時の軍部政府の罪がどれだけ深く許しがたいかを物語る。中の1話の元になる話を語った水木先生の兄上は、敵機を撃ち落とした罪で巣鴨に収監されていたとか。それが本当だとすれば戦地に向かわされた兵は全て戦争犯罪人になってしまう。露兵は知っているのだろうか。2022/04/06
空猫
47
玉砕しろ。責任をとって自決しろ。 敵に体当たりしろ。 命より軍旗を死守しろ。 米軍兵に「捕虜は恥でないから自殺するな」と言われてもそういう教育をうけていないのでその意味が理解できない。 無事に帰国すれば戦犯として処刑され …・・・(ノдヽ)2021/10/13
馨
46
軍旗を守り続ける話『ダンピール海峡』が印象的でした。自分の命を捨ててでも軍旗を守ろうとした軍人さんが沢山いたんですね。日本の歴史の詰まった、先人たちの血に染まった軍旗・・・兵士の最期、悲しかったです。 どのお話も実話で残酷すぎて・・・。読んで伝えていかなければならないと強く思います。2013/03/29