講談社文庫<br> あそび遍路―おとなの夏休み

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講談社文庫
あそび遍路―おとなの夏休み

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  • サイズ 文庫判/ページ数 195p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062766500
  • NDC分類 186.9
  • Cコード C0195

内容説明

「なぜ、このように生きられなかったのか」精神科医として、何度患者さんから聞いた言葉だろう。しかし、その言葉の本当の意味を、遍路に出る前の私は理解していなかった。大学教授の職を辞し、信仰心がないまま遍路をはじめた著者は、そう語る。四国の大自然や温かい人々が、変えた自己とは。

目次

1 風に誘われて
2 大きな空、大きな海、私一人
3 秘められた祈り
4 自然的自己との出会い
5 偉大な非合理への飛翔
6 「想う」こと

著者等紹介

熊倉伸宏[クマクラノブヒロ]
1942年生まれ。精神衛生学を専門とする精神科医。1969年東京大学医学部卒業。医学部助手を経て、英国フルボーン病院勤務。帰国後、東邦大学医学部助教授、教授を経て、2006年メンタルヘルス・コンサルテイション研究所開設、日本精神衛生学会賞受賞(2006年度)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ゆいまある

85
東邦大学精神科教授が、大学を辞して四国遍路を体験したエッセイ。大学からの開放感、多幸感に満ちた序盤。四国の自然にいちいち感動(私には日常)。この人健脚で、余り疲れない質らしい。しかし流石は偉い先生。次第にあるがままを受け入れていくことが遍路だと悟り、怒りや悲しみへの対応の仕方を遍路を通じて学んでいく。愛媛は土居健郎先生のルーツ。土居先生エピが良い。理III出ても杉と檜の見分け方も知らんのか。これだから都会もんは。あと四国に東京より美味いラーメンはないよ。読む内に心のコリがほぐれる良書だった。2023/08/30

つちのこ

48
人それぞれの遍路体験がある。活かすも殺すもその人次第だとつくづく思う。「私のなかの何かが変わった」と言い切る著者にとっては、1200㎞を歩く長い道のりは無駄ではなかったようだ。遍路は「歩きに何の意味があるのか」とは述懐しない。有効な問いは、「それでも歩き続けるのか」という現実のみ。煩悩に支配され、歩くことの辛さにひたすら打ち勝つことばかり考え続けた私の遍路体験とは比べ物にならない境地である。幾度も遍路を繰り返す人たちは、自らが納得できる答えを探しているのだろうか。歩き遍路の奥深さを魅せてくれた一冊である。2024/07/30

キキハル

23
精神科医によるお遍路体験記である。タイトルにあそびとあるように、宗教心も明確な目的もなく、それどころか懐疑の念すら携えて始まった遍路。ところが歩き続けているとだんだんお遍路さんになっていく。まず外見が、体が、そして心が。その過程が淡々と綴られている。職業柄らしい考察がすこしくどかったが、お接待という文化を持つ四国の人々の祈りと気持ちの在りようにとても興味を引かれた。読書で疑似体験は出来ても、実際の体験に勝るものはないだろう。けれどもたぶん一生経験することはないなと決めつける私は読むだけで満足するのだ。2015/05/16

Sakie

20
こんなお遍路のスタイルがあっていいんだ。遍路装束で歩き、美味しいものも食べて、寄り道もする。歩くことが要なのだ。まず外見が遍路になり、次に身体が遍路になり、最後に心が遍路になる。歩くことで体が自然と一体になる。そうすると、身体で感じ、身体で考えるようになるみたいだ。つまり、脳で理屈や都合をこねることを止め、意志的な防御、関門が消える。遍路は自然への回帰。自然は肯定。ああ、私も遍路に出たい。老境に至るまで会社に首根っこを掴まれた私の背にも、遍路の風はいつか吹くだろうか。おっとうちには猫がおった。叶わぬ夢か。2024/07/25

kanki

17
遍路では脚が一番偉い。頭は脚のための道具。だから余計なことを考えなくなる。お遍路、してみたいです。2023/12/21

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