講談社文庫<br> とらんぷ譚〈3〉人外境通信 (新装版)

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講談社文庫
とらんぷ譚〈3〉人外境通信 (新装版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 239p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062766357
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

地上の一隅にたしかに存在する影の王国、すなわち人外境。そこへの扉は容易に開かれないし、かりに偶然彼ら人外の宴にまぎれこんだとしても、人は気づかず通り去るのだ。これから著者が招待するのは、その秘められた宴…。イマージュに光沢と飾り付けを与え、短篇の至芸を示す作品集。連作とらんぷ譚3。

著者等紹介

中井英夫[ナカイヒデオ]
1922年、東京・田端に生まれる。東大在学中に吉行淳之介らと第14次「新思潮」を創刊。「短歌研究」「短歌」編集長として葛原妙子、塚本邦雄、中城ふみ子、寺山修司、春日井建らを紹介。’64年、塔晶夫の筆名で『虚無への供物』を刊行、推理小説の墓碑銘とまで絶賛された。その後、『悪無の骨牌』(泉鏡花文学賞)などの多彩な著作で人気を博した。’93年逝去、享年71(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

財布にジャック

46
またまた、薔薇だらけでした。前2作品同様、この表紙のように怪しく幻想的な世界が次から次へと繰り広げられて、短編とはいえ、長編並みの読み応えです。巻末の中井さんご本人の解説によると「悪夢者」「薔人」「薔薇の戒め」の3部作は「心に染まぬ作品」なのだそうですが、何故か私はこの3部作が好きでした。「人外」というキーワードがきらりと光るゾクゾクする短編集でした。このシリーズもあとラスト1冊なので、大切に読みます。2011/11/17

*maru*

38
─人外。それは私である。薔薇と人外、淫靡でグロテスクな両者の戯れ。嗚呼…これぞ官能の極み。縛めで始まり戒めで終わる、とらんぷ譚ハートの作品集。『薔薇の縛め』『被衣』は絶品。『笑う椅子』『鏡に棲む男』『扉の彼方には』『夜への誘い』などは、その狂気さえも羨望の的となる。著者にとっては「心に染まぬ」後半3篇『悪夢者』『薔人』『薔薇の戒め』の連作も素晴らしかった。徐々に絶望の渦に飲み込まれていく“私”。恐怖や絶望が、誇りや安らぎへと変わる瞬間。“満たされる”とは、まさにこのことか。人外。それは私でもある─。2019/07/30

藤月はな(灯れ松明の火)

20
ハートのトランプを模した短編集は淫靡且つ嗜虐、悪夢的な魅力を孕む腐臭を纏う薔薇の印象が強かったです。人間がどれほど頂点に立っていることを知らしめようとしても椅子は人間の刹那的な背徳関係から起こった愚かな残虐な事件を回顧して嘲笑い、猫は人間の情事を視姦し、逆に人間をペットと称す。知らぬは滑稽なほど愚かな人間ばかりなり。個人的なお気に入りは「薔薇の縛め」、「被衣」、「呼び名」、「笑う椅子」、「扉の彼方には」、「藍色の夜」、「青猫の惑わし」、「夜への誘い」2011/06/20

佐島楓

14
割合現代的な設定の話が多かったように思う。ただそのつもりでちょっと油断してしまうと、酷い目に遭うのである。2011/11/16

ひょろ

13
最初の短編「薔薇の縛め」が幻想的で美しすぎる。薔薇に縛られる美少年。その棘が皮膚を裂き、鮮やかに赤い血が滴り出す。文章の中にしか存在せず、実在してしまえばあまりにも汚らしく見えてしまうことの例。読者は想像力をフル活用してこの妖しい美に酔ってほしいと思う。2015/11/23

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