出版社内容情報
重松 清[シゲマツ キヨシ]
著・文・その他
内容説明
丘の上の遊園地は、俺たちの夢だった―。肺の悪性腫瘍を告知された三十九歳の秋、俊介は二度と帰らないと決めていたふるさとへ向かう。そこには、かつて傷つけてしまった友がいる。初恋の人がいる。「王」と呼ばれた祖父がいる。満天の星がまたたくカシオペアの丘で、再会と贖罪の物語が、静かに始まる。
著者等紹介
重松清[シゲマツキヨシ]
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒。出版社勤務を経て執筆活動に入る。1999年『ナイフ』で第14回坪田譲治文学賞、『エイジ』で第12回山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で第124回直木賞、2010年『十字架』で第44回吉川英治文学賞受賞。話題作を次々発表するかたわら、ライターとしてもルポルタージュやインタビューを手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うりぼう
111
「スタンド・バイ・ミー」か「夏の庭」か、4人の子ども達の冒険と友情は、過去を知るとともに大きく舵を切る。障害・疾病・犯罪に翻弄される3家族に、気配りの男と明るいが陰のある女性が絡む。カシオペアの「M」は、ミウかミッチョンか。その先にある北極星は、北都に君臨する千太郎か。許されることを望む祖父と孫、許したい夫や友に死と再生はあるか。カギは美唄が握るので、なかなか過去が明かされない。混沌のまま、青天の日、夢にみた遊園地の丘に集まり、贖罪の観音が、空洞の瞳で見つめる。各層に溢れる世界の神仏が、いつか魂を救う。2010/06/04
ムーミン
110
久々の重松作品。やっぱり読みやすいです。2024/12/12
katsubek
106
重い。思いが重い。いや、しゃれではなく、……。400ページを超える本を、足かけ2日間で一気読みしてしまった。ゆっくり読むのがモットーなんだけどなぁ。描かれている生と死とが、日常を忘れさせてしまう。こんな一気読みは、高校時代の『こころ』以来かも知れないなぁ……。まずは、少し落ち着いて下巻を読もう。2015/02/15
hitomi.s
103
統べてが失われる期限が目の前にあったら、自分は何をおもうのだろう。 赦したい許されたい過去や相手があって、愛するものを時間を唯々惜しんで、 でも時間の経過は明らかで。 私も、いい年齢になった。若くもない。高齢でもない。本の中の彼らと同じくらい。 いつでも節目と言える。幾つでも何月でも、振り返ったりやりたいこと考えたりできる。 いいきっかけを持った。 幾つに成っても「良い歳になったな」っておもう。 ほんとにつらくてかなしくて苦しかった事もあったけど、総じて幸せなんだろう。 さ。下巻。2017/05/15
myunclek
97
人生、前だけ見て生きられているうちはきっと幸せなんだろな。生き死にの岐路に立った時に、どう自分の人生に立ち向かえるのか。そして自分に立ち向かえるだけの勇気があるのか、心細くなる思いを抱いた。家族そして友人、しがらみを乗り越え希望を見いだす事が出来るのか下の行方が気になる。2015/12/23