内容説明
昭和20年10月、連合国軍最高司令官マッカーサーは大日本帝国憲法の改正を示唆した。新憲法の研究を独自に進める日本政府、占領政策を強引に推進するGHQに不満を募らせるソヴィエトの圧力―壮絶な駆け引きと思惑の最前線で、内閣法制局の若き官吏・立木一郎が目撃した日本国憲法誕生をめぐる歴史巨編。
著者等紹介
海道龍一朗[カイトウリュウイチロウ]
1959年生まれ。2003年に“剣聖”上泉伊勢守信綱を描いた『真剣』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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てつ
31
今の憲法は押し付け憲法と揶揄されることがよくある。その辺りの事情を上手く描ききった力作。面白かった。市民革命を経ず、江戸時代という身分制による官僚制時代から近代国家に急速に転換するには神国である必要があった。その結果、国家思想が一本化されてしまい大戦に至り敗北する。ここでは信条の自由は許されなかった。自由主義国家に転換するには時間をかけて社会を変える方法と、上から徹底して変える方法があり、結果的に押し付け憲法、つまり法で縛るしかなかった。それでも守れたものはあることは忘れてはならない。2023/03/18
熱東風(あちこち)
1
面白かった。非常に分厚い本で内容もヘビーだがグイグイと引き込まれた。この本が最も言いたいことは640頁からの一郎の激白にあるのだろう。憲法改正を目論む政治家達が大きく頷きそうな理屈ではあるが、しかしなるほど尤もな事だと頷ける。日本人が何となく絶対不可侵視している現行憲法が実はこれほど根拠があやふやでいい加減なものだったと、改めて思い知らされた。憲法だって法律の一つに過ぎないのだから不変であり続ける方がおかしいことに気付かない脳天気な輩が日本人には多すぎるのではないか。2014/02/28
sasu
0
題材が「憲法」だけに、重い!難しい!2010/05/25
葉月あき
0
文庫化による再読。2010/04/17
育音
0
長い時間をかけて読み終わって感じた事は、時間をかけすぎると内容を理解する事は難しい。 難しい題材の本は尚更。 憲法の改正も難しい。2019/03/13