講談社文庫<br> 足利事件―冤罪を証明した一冊のこの本

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講談社文庫
足利事件―冤罪を証明した一冊のこの本

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  • サイズ 文庫判/ページ数 525p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062764582
  • NDC分類 326.23
  • Cコード C0195

内容説明

09年6月、日本中が注目するなか、足利事件の菅家氏が17年ぶりに千葉刑務所から釈放された。著者は94年から「現代」誌上で無実を訴え続け、この本によってすでにそれを証明していた。なぜ足利事件のような悲劇が起きたのか。綿密な取材で、その裏に潜むものを解き明かし、釈放のきっかけとなった著作。

目次

控訴棄却
第1部 少なすぎる証拠(疑問;奇妙な供述;再現;DNA鑑定;判決)
第2部 犯人でなければ困る(捜査;精神鑑定;逮捕;自白;闇)
叫び

著者等紹介

小林篤[コバヤシアツシ]
1954年生まれ。早稲田大学卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

gerumanium

3
警察官や裁判官、精神科医はそれぞれ人生のなかで経験を積み重ね事件のパターンを見出す。事件をめぐって繰り広げられる警察、弁護士、精神科医の妄想合戦はくだらない標語のごとく画一的だった。コミュニケーションもほとんど標語の連鎖に近い部分が存在する。だが、菅家さんはそこからはみ出る人間であった。この事件は、えん罪に関する我々の警鐘だけでなく、常にコミュニケーションが認識によって歪められていることの必然性さえも明らかにしてしまうから恐ろしいのだと思う。是非多くの人に読んで頂きたい2010/12/24

Arataki

3
ある側面として、知的障害がある男性が自己実現を果たすが、そのつつましい生活が、我々のもつ予断や偏見によって壊されてしまうという、その不幸な現実の例が描かれている。一人一人の警察官だって、罪を憎む気持ちのある真っ当な矜持を持った人たちであるのに、どうしてこのような冤罪が起こってしまったのか。気分が沈む一冊だけれども、是非とも目をとおして欲しい。解説にもあるが、真犯人が罪にとわれないままのうのうとしてるという事実が一番恐ろしい。2009/10/06

Ikuto Nagura

2
「捜査官の執念」「科学捜査の勝利」そんな修辞の正体は、何十年も前の“島田事件”や“狭山事件”から何も変わらない、知的障害者への差別による予断の糊塗に過ぎなかった。菅家さんの人生の破壊だけでなく、真犯人による再犯まで招いた責任は、警察も検察も裁判官も、そして我々も問われない。控訴審の傍聴席で老婆が高木裁判長に放つ「能力が低いのは、どっちだと思う」という辛辣な問いは、私自身にも突き刺さる。菅家さん逮捕による事件解決に歓喜した癖に、菅家さん冤罪に怒る矛盾の根源は、私たち自身の能力の低さと差別意識に由来するのだ。2014/11/16

キミ兄

2
連続する幼女殺人事件により地域からの犯人逮捕のプレッシャーが掛かったことが、捜査当局の判断を狂わせたのか。自分の意思で自白できない人がいることも認識が本当になかったのか。冤罪はえてしてそういうものだろうが、国の仕組みが正義を守れないのは本当に怖い。☆☆☆☆。2014/04/30

もとかのうらなたね

2
足利事件最大の物証、DNA鑑定は理論上はともかく(←現在はこれも否定)運用上の杜撰さから到底証拠採用されるべきではなかった。予断を以てすればあらゆる事象がどのようにでも都合良く解釈できると言う事実に戦慄2010/06/06

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