出版社内容情報
東野 圭吾[ヒガシノ ケイゴ]
著・文・その他
内容説明
少女の遺体が住宅街で発見された。捜査上に浮かんだ平凡な家族。一体どんな悪夢が彼等を狂わせたのか。「この家には、隠されている真実がある。それはこの家の中で、彼等自身の手によって明かされなければならない」。刑事・加賀恭一郎の謎めいた言葉の意味は?家族のあり方を問う直木賞受賞後第一作。
著者等紹介
東野圭吾[ヒガシノケイゴ]
1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。’85年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。’99年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者Xの献身』(文春文庫)で第134回直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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ぷりん本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
1220
人にとって家族とは?人にとって死に際に何が胸に去来し、そして残された者たちはその人にしてやれる最良の事とは一体何なのだろうか?『容疑者xの献身』で直木賞を受賞した期待値の高い中で発表された本書はそれに十分応えた力作だ。善悪や好き嫌いで単純に割り切れない、長年連れ添った家族の絆という人生の蓄積が人の心にもたらす、当人しか解りえない深い愛情に似た感情を、作者は加賀の父親との関係を絡ませて見事に描き切った。たったこれだけの分量でどうしてこんなに深くて清々しい物語が紡ぎ出せるのか。東野圭吾はまだまだ止まらない。2014/08/03
ヴェネツィア
1072
とってもよくできたエンターテインメント小説。とりわけ加賀恭一郎ファンには最高だろう。直木賞受賞後第1作ということだが、ミステリーとしての構成にも意気込みが見られる。犯人は最初からわかっており、作品の妙味は畢竟昭夫とその家族の問題にかかっていた。しかも、家族の在り方としては加賀もまた問われるという構成の妙をも見せている。本編で最も読者をうならせるのは、2重3重に張り巡らされたエンディングだろう。それはまさにプリーストリーの『夜の訪問者』のそれに匹敵する。東野圭吾の中にもそれは強く意識されていたかもしれない。2021/06/01
再び読書
662
正直今まで加賀シリーズは、そんなに心を打つ事が無く、「嘘をもうひとつだけ」では、冷酷さにもう続けて読むのは止めようかな?と思ったぐらいです。しかし、読み口の悪い序章から始まり、最後のタイトルにいたる収束の見事さには、脱帽、賞賛、感動までの色々な感情が沸き起こった。やはりこの作者は只者では無い、凄みを見せ付けてくれます。犯人が誰か?という表向きの遊び心の裏に隠された人間の思いが、メインテーマであったことに他の2作品に、思いを巡らす。ガリレオの「容疑者Xの献身」の位置にある加賀シリーズ作品と言える。参った。2013/09/04
どんちん
620
事件としては、本当にお粗末で、全く小説の題材にならないものである。が、しかしである。この父親の行動が「感想」の中ではとんでもないことで、非難されることであるが、自分自身のことだったら、本当に「あるべき行動」を迷わず、悩まず、全く脳裏をかすめずとれるだろうか、と考えるとこの前原昭雄は非常に標準的?な人間なのかなと、ふと思ってしまった。サイドストーリー的な加賀刑事のプライベートに関する話も、「家族」というキーワードでうまく絡んでいると思います。そのせいもあり、思ったより後味は悪くなかったです。2012/12/04
ノンケ女医長
604
東野圭吾、名作集のひとつ。加賀恭一郎の機微に触れられる。あんな風に、実父や実母との関係性に思いを巡らせ続けたからこそ、達観した感性が育まれたんだなと、しみじみ感動する。さて、47歳の前原昭夫。ふがいなさが、本当に鼻に着く。あらゆる責任から逃れ、自分で決断をしない。強い意見に流され、いつも場当たり的。突然起きた惨劇に対処できず、恐怖感から逃げるように愚かな決断を下す。そりゃ、4歳下の妹から、強烈なビンタを喰らうわ。昭夫の言動に終始、ムカムカした。戻って来た一人息子を支えることも、きっとしないんだろうな。2024/08/09
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