出版社内容情報
1972年夏、キクとハシはコインロッカーで生まれた。母親を探して九州の孤島から消えたハシを追い、東京へとやって来たキクは、鰐のガリバーと暮らすアネモネに出会う。キクは小笠原の深海に眠るダチュラの力で街を破壊し、絶対の解放を希求する。毒薬のようで清々(すがすが)しい衝撃の現代文学の傑作が新装版に!
村上 龍[ムラカミ リュウ]
著・文・その他
内容説明
一九七二年夏、キクとハシはコインロッカーで生まれた。母親を探して九州の孤島から消えたハシを追い、東京へとやって来たキクは、鰐のガリバーと暮らすアネモネに出会う。キクは小笠原の深海に眠るダチュラの力で街を破壊し、絶対の解放を希求する。毒薬のようで清清しい衝撃の現代文学の傑作が新装版に。
著者等紹介
村上龍[ムラカミリュウ]
1952年、長崎県に生まれる。武蔵野美術大学中退。’76年に『限りなく透明に近いブルー』で群像新人文学賞、芥川賞を、’81年に本作『コインロッカー・ベイビーズ』で野間文芸新人賞、’96年に『村上龍映画小説集』で平林たい子文学賞、’98年に『イン ザ・ミソスープ』で読売文学賞、2000年に『共生虫』で谷崎潤一郎賞を受賞、’05年に『半島を出よ』で野間文芸賞、毎日出版文化賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
216
スゴい…、スゴすぎる…。とにかく何から何まで‘圧巻’としかいいようのない作品でした。面白い、面白くない、好き、嫌いなど、ただ単純に二分化する評価や感想では全く納まらないと思われます。しいていえば、好きな人は好きで、ココロがシビれ、苦手な人はまず読み進めるのが、かなり困難だろうと。ジャンルもスケールも全てが規格外のこの作品を30年以上も前に書いていた作者さんにはただ、ひたすらひれ伏すばかりです。中盤までは何度も屈しそうになりましたが、凄まじすぎる『狂気』の世界へ、どんどん誘われ、我を忘れてしまう作品でした。2015/11/19
風眠
189
むかーし、若い頃に読んだとき、途中で挫折した本。読書経験を積み重ね、わりと色々なものに挑戦できるようになった今なら読めるかもしれない・・・と思い再挑戦。なかなかに苦戦したけれど、とりあえず最後まで読み終えることができた。ファンタジーとバイオレンスが交錯する舞台設定、コインロッカーに捨てられ生き延びた二人の少年。暴力や歌にすがらなければ、生きる意義が分からなくなるという二人の不安定な心。コインロッカーに帰りたいという強烈な回帰願望と、無意識、意識、アイデンティティー、心のあやふやさについて考えさせられた。2015/08/16
テンちゃん
178
『人生は鍵のない閉ざされたコインロッカーの中のようで出口がない!』『心の中で何度叫んでも四方八方壁で塞がれている!』『生まれた時から孤独を味わい!奥深く心の底で溺れている!』『親として子に愛情を注いでこそ子は生きる希望を見い出す!』⇨2人の主人公「( ̄ヘ ̄「キク」と「ハシ」∑(◎◎ノ)ノ「破壊」と「繊細」⇨「感情!」(☆`Д´)「爆発!」⇨『開かれることのない道❢』『幸せとは何か❢』『生きることの意味❢』⇨『コインロッカーに始まり!コインロッカーのような皮肉な人生を歩む❢』傑作作品。☆(⊙.⊙)4.52016/02/19
yumimiy
109
生きろ!殺せ!破壊しろ!キクは爆発的に泣き発見された。一方、ハシは大量の天花粉の臭いで盲導犬に発見された。二人は生後間もない男の子、発見されたのはコインロッカーだった。いやはや体力のいる作品で精神の消耗も半端なく疲れた。一見、反社会的な作話かと思ったが、動物から進化した人間ならでは、破壊の衝動がモノを作らせるという。選ばれた者だけが破壊の権利を持ち、殺したくなったらダチュラをバラまけ。ダチュラって?朝鮮朝顔、別名キチガイナスビ。キクが実母の顔を吹き飛ばし、ハシが女の心臓を取り出す。そして、世界はコロナ渦へ2021/02/07
Willie the Wildcat
106
閉鎖性からの脱却。破壊ではなく再生。内外どちらからの作用により”扉”を開くかの苦闘。癒しともなる繋がりは”鼓動”。(暴力は決して肯定できないが)もがき苦しむ中で、道を切り拓こうとする登場人物の行動力がカギ。変化と不変の自問自答も印象的。自他の観点に加えた必要性。象徴がハシとミルクの再会の場面かもしれない。ダチュラである必要は必ずしも無く、生きるエネルギー。±に揺れる中でのプラスの上積み。蛇足ですが、Webで「大学新入生に推薦」されている主旨が読めないなぁ。(汗)2016/01/22