内容説明
鹿内家の歩んだ道は戦後のマスメディアの象徴だった。経済界を動かし各媒体を手に入れ、聴取率・視聴率争いに勝つ。さらには他企業を出し抜きお台場に新社屋を建設する。数年にわたる緻密な取材をもとに、日本のメディアとは何かを問う話題作。新潮ドキュメント賞・講談社ノンフィクション賞を同時受賞。
目次
第4章 梟雄―鹿内信隆のメディア支配(後)(フジテレビの造反;労働運動潰しの策謀 ほか)
第5章 華麗なる一族―後継者・鹿内春雄(離反した「学友」;「お祖師さま」を崇拝 ほか)
第6章 改革者―鹿内宏明の試み(狙われたテレビ朝日;ヴァージン・ミュージックに資本参加 ほか)
第7章 宿命―フジサンケイグループの抱える闇(巨額横領事件;販売局の裏金 ほか)
エピローグ(宏明の犯した致命的なミス;「上場」に内在する危険 ほか)
著者等紹介
中川一徳[ナカガワカズノリ]
1960年生まれ。フリーランスジャーナリスト。月刊『文藝春秋』記者として「事件の核心」「黒幕」「悶死―新井将敬の血と闇」などを執筆。2000年に独立。事件、経済、政治などをテーマに執筆活動を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Lara
63
上下巻計9百頁ほどの作品だが、読み始めるとどんどん進んで行く。実話とのことだが、面白い小説よりは、迫力あり、臨場感たっぷりのエンターテインメントに仕上がっている。20年程前の出版。鹿内信隆氏はフジサンケイグループの礎を固めた方、なんともその行動力は凄まじいいエネルギーを秘めている。娘婿となった3代目、鹿内宏明氏は僅か4年程でグループを追われた。何故追い出されたのか、もう少し理由付けが欲しかった。追い出したのは、日枝久氏。同氏は40年以上も同グループを牽引してきたが、本年退任された。2025/06/22
Sam
47
マスコミ業界に興味があるわけではないが昨今の異常な事態を目にして「フジテレビとは一体何ぞや」ということで読んでみた。鹿内ファミリーが放逐されるクーデターから書き起こされその後は遡って鹿内ファミリーのドンについて描かれる。フジサンケイグループの成り立ちの何と特異なことか。人間誰しも昔はよかったと思いがちだし自分もいまの世の中はいろいろ窮屈だと感じていたけれども、ここまで企業がいいように私物化されているのを見るとどう考えても行き過ぎの世の中であったと思わざるを得ない。日枝久の時宜を得る狡猾な立ち回りが印象的。2025/07/15
goro@the_booby
45
鹿内明宏氏はスケープゴートにされたのだと思える。訳も分からず鹿内になり、ここぞとばかりに反鹿内の的になっちゃった。そして何が出来たかと言えば鹿内が日枝に替わっただけのような気がする。まぁ公共と言えども私企業であり利益追求が至上命題。何をしてもいいのだろうけどフジに限らず面白いテレビがないなぁ。一度も行ったことないけど彫刻の森の秘密がわかりました。昔は天気予報のバックになってらりCMあったんだけどね。結局は鹿内路線を踏襲してる。巨大メディアは今後どこへ行くのでしょうか。復活して欲しいのは→2018/05/29
Shoji
30
2005年に刊行された本ですが、まるで今のフジ・メディア・ホールディングスを予言しているかのようです。上巻は日枝氏が鹿内氏を失脚させる内容でした。この下巻は、鹿内一族の人物評伝が中心。一族はグループ全社を私物化し好き放題だったようです。鹿内失脚後の日枝体制ことには触れられていません。堀江貴文氏、村上世彰氏による株式取得の攻防の件に触れられている程度です。その日枝氏もまた、グループを私物化したのであろうか、今の体たらくの張本人と思います。社会インフラ企業は一歩間違えるととても危険だということが良く分かった。2025/04/17
Cambel
25
長いし登場人物が権力欲に塗れた人物ばかりだったので、読んでてこんなに疲れる読書は久しぶりだった。唯一まともなのは娘婿の鹿内宏明だけではないか。役員のほとんどが社内外の政治活動に入れ込んでるからガバナンスなんて育たないだろう。内容は鹿内信隆の支配がメインで日枝久は権力を得てから少しの間だけの記述だった。日枝久も後ろ暗いので落ち度のない鹿内宏明の影に怯えていたが、今となってはこの世の春なんだろう。堀江貴文ではないが、日枝久出てこいと言いたくなる。2025/02/19