出版社内容情報
微梦(うすぐら)い廊下に。漆黒の影法師が現れた。
「君は――」
誰だ。
「世界を騙る者です」
影法師はそう、響き渡るような声で云った。
京極夏彦分冊文庫シリーズ
「私の世界は、小さなひと雫の漆黒に凝縮されてしまった」。終わることのない殺人の連鎖。蜃気楼のように浮かびあがっては消える犯人像、そして榎木津と事件の繋がりも見えずにいた。そんな状況下、京極堂は、自らの世界の終焉を悟った男と対峙する。滅びゆく世界を遺すために――。圧巻のクライマックス。
京極 夏彦[キョウゴク ナツヒコ]
著・文・その他
内容説明
「私の世界は、小さなひと雫の漆黒に凝縮されてしまった」。終わることのない殺人の連鎖。蜃気楼のように浮かびあがっては消える犯人像、そして榎木津と事件の繋がりも見えずにいた。そんな状況下、京極堂は、自らの世界の終焉を悟った男と対峙する。滅びゆく世界を遺すために―。圧巻のクライマックス。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えみ
51
人生を変える幸福な出会い。その出会いは想いが強くなるほど、本気になればなるほど、叶わないと気付いてしまったとき、冷静でいられない。微かな嫉妬、不器用な善意、一方的な正義をのせた復讐。猪突猛進な勘違いの螺旋に踏み込んでしまった人々が、手に「毒」を握ってしまったならばどうなるか。毒を手に入れたのは偶然、だったはずだがいつしか人が毒に引かれているような、毒に意思があり操っているような…ゾッとする感覚を味わった。そもそも京極堂をはじめ、いつものメンバーの様子がおかしかったのはこの切ない幕切れを予感していたからか。2024/05/10
ソラ
34
いろいろ絡み合った事件ではあったけれども好きな人を取られたくなかったということが根底というそのためのことだけにここまでかと思わなくもない。しかし、下巻に入ってからはただただ榎さんが格好良かった!2016/03/06
usarlock
29
上巻と中巻はちょっと冗長に感じたが、下巻にきて一気読み。西田先生が持つ独特の世界と京極堂の憑き物落としに完全に引き込まれてしまった。雫の存在に翻弄された人たちが悲しいですね。特に大鷹さん(;_;) 読む前から聞いていた通り、妖怪うんちくが無かったのは少し残念。次に期待しようと思います。ところで、京極堂の決め台詞「この世には不思議なことなど~」が出るまでのやりとりがヤラセっぽい(笑)2014/09/04
MATHILDA&LEON
26
混沌として何がどうなっているのか、正直一回で理解できなかった程に、細かく作り込まれた物語(事件)だった。いつもと何だか調子の違う登場人物に違和感を持っていたが、そうかなるほど、こういう事だったのかと、終盤わかってくる。どうやら今回でシリーズは終わりのようで、、、さみしいなぁ。また最初から読み直そうと思う。全部揃えちゃおうかしら。2020/05/12
yucchi
26
結末が気になって一気に読了。いやぁ、まだちょっと頭が混乱中(笑) 私の書いていたメモは、4割位しか役に立たなかった(笑) 今作はまともな関口とおとなしい榎木津という、珍しいシチュエーションがあって今までと雰囲気が違った。あれ?妖怪うんちくは...? さてこれから真相解明って時に話が脱線して「京極堂め...」とイライラしたが、結末は少し切ない気持ちになった。2014/08/26