出版社内容情報
貴女は私に一滴の雫を呉れただけだ。そして貴女が私に呉れた一滴の雫は、私をすっかり吸い込んでしまった。
京極夏彦分冊文庫シリーズ
「邪悪な陰謀が陰で渦巻いてるかもしれん」。榎木津の縁談が先方から悉(ことごと)く断られる。その理由を、榎木津の従兄にあたる今出川の命令で、益田は調べ始める。その頃、小松川署勤務の青木文蔵は、江戸川、大磯で発生した毒殺事件の関連を調査していた。そして、被害者の1人が榎木津の縁談相手の妹だったと判明する。
京極 夏彦[キョウゴク ナツヒコ]
著・文・その他
内容説明
「邪悪な陰謀が陰で渦巻いているかもしれん」。榎木津の縁談が先方から悉く断られる。その理由を、榎木津の従兄にあたる今出川の命令で、益田は調べ始める。その頃、小松川署勤務の青木文蔵は、江戸川、大磯で発生した毒殺事件の関連を調査していた。そして、被害者の一人が榎木津の縁談相手の妹だったと判明する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えみ
46
あぁ、この長く深い闇の底に広がる混沌とした世界、残忍で冷酷な迷宮にまた何の前触れもなく堕とされた。そこに待ち受けるのは蠢くことで妖気を生み出す邪魅の存在。この不穏で妖しいアンフェアな内なる世界は、死を招く悪気が溢れ出たフェアに怖気る外なる世界へどう影響していくのか。京極堂とその仲間達が活躍する百鬼夜行シリーズの(上)(中)(下)三冊からなる分冊文庫版。強力な性格で周囲の度肝を抜く探偵・榎木津礼二郎の縁談、そこから派生する事件の数々…。まだ一つ一つの繋がりは細く弱い。が、嫌な予感が湧いてくる語りに終始警戒。2024/05/05
ソラ
33
いくつかの事象が並行して起こっていてそれがまだどのように収束するかはわからない。ただ、今回のはあまり妖怪的な側面は感じないなぁと思う。2016/02/28
急いで突厥
33
3月に大人買いした電子書籍の消化祭り継続中。久しぶりの京極作品。あまりの厚さに手に取るのを躊躇うのですが、電子書籍だと楽々です。が、あまりに久しぶり過ぎて、最初はなかなか読みづらかったです。途中から徐々にペースが掴めてきました。あっちこっち寄り道し事件を広げまくって上巻終了。2015/09/20
MATHILDA&LEON
28
まだ事件は始まったばかりで、様々な点が散らばっている状態。ここからどう物語が走り出すのか全く読めないし、どう繋がるのかも分からない。この謎めいた感じが良いのです。ちなみにいつもの京極堂の独特の解説が、中程にありました。今回は『批評家とは』。これはウムムと唸らされましたな。。。2020/05/07
*maru*
28
百鬼夜行(京極堂)シリーズ8作目。思わせ振りな独白のシーンで始まる物語の今回の舞台は江戸川、大磯、平塚。刑事と元刑事が数多く登場し、厄介な公安の動向も気になる。心にくっきりと浮かび上がる消し去る事の出来ないひと雫の黒い想い。邪で魅惑的な一滴の漆黒の雫。逃げる者。追う者。見張る者。殺意を抱く者。数々の不審な行動や登場人物の多さ、いつもの事ながら各方面で発生する事件を整理しながら慎重に読み進める。榎木津の過去の女性関係と縁談話…気になるじゃないか。連続毒殺事件との関連は?中巻へ続く。2017/04/15