内容説明
世界最大の都市・江戸を擁しながら、ほぼ完全な循環型社会を実現していた、かつての日本。驚異的なエネルギー効率を誇る農工業、民間人がボランティア的に行政参加するスリムな社会システム、季節に応じた知恵溢れる庶民の暮らし…。豊富な図版とともに「究極のエコ社会」江戸を読み解く文庫オリジナル。
目次
江戸時代はエコ時代
贅沢を贅沢と思わない
子供は豊かさに耐えられるか
江戸時代の評価の変化
江戸の「いき」とは
士農工商の誤解
江戸庶民の消夏法
江戸の金遣いに学ぶ(江戸っ子は宵越しの金を持たなかったか;金より意地;宵越しの金を持たない理由;間違って金を貯めた人々;こうすれば税金はいらない)
対談(養老孟司;月尾嘉男)
著者等紹介
石川英輔[イシカワエイスケ]
1933年京都府生まれ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アポトキシン
30
この本の最初の半分くらいは江戸時代の人々のエコライフについて、残りの半分は江戸の人々の暮らしぶりについて述べられていた。特に江戸庶民の消夏法については、現代でも参考にできる部分もいくつかあった。猛暑の場合は致し方ないが、外気温が30度くらいであれば、エアコンを付けずに川端や橋の上で川風にあたって涼むのも有りなのではないかと思った。また、江戸人の金遣いも大変参考になった。金は使うべきところで使わないと一向に景気は良くならないことを江戸の人たちは知っていた。(続く)2024/07/24
aisapia
10
さらりと読めました。前半はエコ時代について書かれていますが、後半はどちらかというと江戸ってこんな時代という話でした。江戸はひどい時代だったという概念が主流の時代があったことも知らなかったので勉強になりました。2021/12/06
まんむー
9
以前テレビで(NHKだったことは覚えているが番組名はわからない)江戸時代の紙事情を見た。この時代、紙はとても貴重品。とても大切に紙を使っていて、書き損じも無駄にはしない。書き損じの紙も集める仕事があり、襖や衝立の下紙に使われたようなことだったと思う。そんなエコな江戸時代を少し感じました。あと、江戸の金融事情も面白かった。今は豊か過ぎて人が弱くなってきたんだな。そんなことも感じました。2024/08/09
ヘブンリー
6
最良生産、大量消費を良しとせざる得ない資本主義。温暖化やそれがもたらす前代未聞の災害を考える時、思わずクエスチョンマークが浮かぶ私には面白い本だった。物が有り余り便利にはなったけど、こんな調子でどんどん加速して最後に行き着くところはどこなんだろう?もう一度別の視点から物事を見直す必要があることを痛感させられた。2014/09/10
とこ
4
時代小説を読むうちに江戸時代に興味を持ちました。ゼロから生み出す技術力。原料は植物、動力は人間(または動物)の筋力。ムダな物は持たない。リサイクル業がかなり発展していて、ゴミもムダにしない。なぜ江戸っ子は宵越しの金を持たないのか。すごい社会だと思いました。2017/12/03