内容説明
ひょんなことから自堕落な真打ち、三々亭平佐の弟子となった香須美。前座として、愛する落語に情熱を注ぐ。そんなある日、師匠が禁断の噺を高座にかけると宣言したから、さあ大変…。大阪の女性漫才師の奮闘を描き、選考委員から満場一致で支持された、オール讀物新人賞受賞作「ええから加減」も収録。
著者等紹介
永田俊也[ナガタトシヤ]
1963年神奈川県生まれ。慶應義塾大学文学部卒。慶應義塾職員として16年勤め、2003年に退職、フリーに。2004年、第84回オール讀物新人賞を「ええから加減」で受賞。1999年、落語原作『人情ラーメン―夢屋』が第5回チキンラーメン夢大賞創作落語(吉本興業主催)で大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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はつばあば
56
桂二葉さんの「ジジイたち見たか!」を紙上で拝見。男の世界に入っていくゆうのは大変なんやろなぁと思いつつこの本を見つけた。今でも男優先の世界がいっぱいある。案の定肝っ玉のちっさい集団やなぁと思うのは私の勝手ですが、そこに飛び込んだ主人公の香須美、師匠平佐の破天荒な春団治?将棋の坂田三吉に負けず劣らずな生活ぶり。香須美さんの師匠を守る心意気!ええなぁ。今でこそ女性落語家も認められるようになったようですが・・二葉さんたちほんと苦労しやはったと思います。今度は政治家のジジイ共に一泡ふかす女性が登場せんもんかいなと2023/06/07
エドワード
22
中学生の時に叔父と聴いた落語に魅せられた香須美。叔父が死の病に倒れ、彼に聴いてもらいたい一心で落語を覚える。一念発起、落語研究会のある高校、大学から飛び込んだ落語の世界。男社会だ。憧れの三松亭柿紅に弟子入りを断られ、毒舌で嫌われ者の三々亭平佐に拾われる香須美の悪戦苦闘を縦糸に、演者を殺す呪いの「緋扇長屋」に挑む平佐を横糸に、語られる芸。落語とは何だ?人を楽しませることに高尚も野卑もない。落語は人間の弱さや醜さを切り捨てない。スケベな平佐との毎回の攻防が楽しい。「ええから加減」も同じく芸の奥深さを覗かせる。2019/03/01
fseigojp
14
映画原作 大火のあとの亡霊につき動かされて名人が作った噺が封印された。。。元タネはなんだろう?2015/08/19
蕭白
5
もう少し主人公がメインになるのかと思っていましたが・・・。思っていたより読みやすくて良かったです。2016/04/23
FUJI燦々
4
女性落語家の長閑目な小説を想像していたが、のっけから異なるダークな世界観から話が始まり、その後も差別意識で辛そうな女落語家の立場が描かれるなど、ちょっと辛かったがなんやかんやで良い方向に着地して終結したので胸をなでおろす。おもてたんとちゃうけど、まぁえぇか。2022/12/02