出版社内容情報
辻村 深月[ツジムラ ミヅキ]
著・文・その他
内容説明
雪降るある日、いつも通りに登校したはずの学校に閉じ込められた8人の高校生。開かない扉、無人の教室、5時53分で止まった時計。凍りつく校舎の中、2ヵ月前の学園祭の最中に死んだ同級生のことを思い出す。でもその顔と名前がわからない。どうして忘れてしまったんだろう―。第31回メフィスト賞受賞作。
著者等紹介
辻村深月[ツジムラミズキ]
1980年2月29日生まれ。千葉大学教育学部卒。『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
791
ホストはお前か?いや、お前なのか?いやいやお前か?こいつはモブだ!やっぱりこいつか?と約600ページに渡り盛大に振り回された上巻でした。さて下巻ではどうなるのでしょうか。楽しみです。2019/04/07
遥かなる想い
773
辻村深月が描き出す世界は少し怖くて、でも胸を揺さぶられるが、本書は私には少し若すぎる感じ。青南高校の文化祭の途中に死んだのは 誰なのか、そして8人が校舎に時間を止められたまま閉じ込められて何が起こるのか…個々の高校生の青春ゆえの悩みのようなものを丹念に書いてはいるのだが。2011/12/23
パトラッシュ
742
6百頁を一気読みさせられるページターナーぶりは、著者24歳の作とは思えない。雪深い学校に自分たちだけ閉じ込められた8人の高校生が、2か月前に自殺した同級生の名前を思い出せない謎を解こうと苦闘するプロセスは少しも飽きさせない巧みな構成だ。彼らを招き入れた「ホスト」の支配するファンタジー的世界という設定が、いつの間にか当たり前のように思わせてしまう描写力も見事。友人のはずが周囲を完全に信じられない疑心暗鬼が募る中で、人の心こそ血まみれなホラーより恐ろしいのだと少しずつ明らかになってくるのがたまらない。(続く)2021/07/06
yoshida
587
とある雪の日。普段通りに登校した8名の生徒は自分達が凍てつく校舎に閉じ込められた事を知る。2ヶ月前の学園祭で起きた生徒の投身自殺。彼等は亡くなった生徒の顔と名前を思い出せず、異世界の校舎では異変が続く。8名それぞれの心情、焦り、畏れ、悔い、様々な感情が質感を持って描かれる。物語に惹き込まれ一気に読ませる。主人公が作者と同姓同名の「辻村深月」である事が下巻の鍵を握るのか。8名それぞれの内面が、読者自身に近い存在や考え方や経験を持つのであろう。だからこそ物語に惹き込まれるのだ。やはり辻村深月さんの作品は凄い。2016/03/08
さてさて
584
この作品を読んで感じたのは誰もいない夜が明ける直前の海岸にいるような感覚。誰もいない静かな夜明け前の海岸、そこに昨日作られたのか小さな8つの砂山。静かで平和でいつまでも続くかのような世界。でも、時が経ち、汐が満ちていく中でそれらの一つがさらわれていく、また次の砂山が…、という繰り返し。最初、幾つあったのかもわからなくなってゆく。小説は砂山でなく人であるという事実。この世界にいつまでも浸っていたいと思わせる心地よさ。ゆっくりゆっくりと真実に空が白んでいく。下巻もとても楽しみになる、そんな心地よい時間でした。2020/12/20
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- 夜に啼く森 小学館文庫