出版社内容情報
本谷 有希子[モトヤ ユキコ]
著・文・その他
内容説明
「あたしは絶対、人とは違う。特別な人間なのだ」―。女優になるために上京していた姉・澄伽が、両親の訃報を受けて故郷に戻ってきた。その日から澄伽による、妹・清深への復讐が始まる。高校時代、妹から受けた屈辱を晴らすために…。小説と演劇、二つの世界で活躍する著者が放つ、魂を震わす物語。
著者等紹介
本谷有希子[モトヤユキコ]
1979年石川県生まれ。高校卒業後、上京。2000年9月「劇団、本谷有希子」を旗揚げ。主宰として作・演出を手掛ける。’06年に上演した『遭難、』で第10回鶴屋南北戯曲賞を最年少で受賞。’05年自作戯曲を小説化した本作で三島由紀夫賞候補に、’06年『生きてるだけで、愛。』(新潮社)で芥川賞候補になる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
479
芥川賞以前の作品で三島賞の候補作となったもの。タイトルはなかなか過激で煽情的なのだが、内容も負けていない。今時には珍しいくらいに情念的。中上健次を思わせる。もっとも、この人の作風が常にこうというわけではなさそうだが。自らの美貌に縋り付くあまりにアイデンティティを喪失する姉の澄伽。一方、その陰にいながら自己の道を進む妹の清深。この小説は、社会との違和の中で行き場を無くした(求める)怒りの表出の物語であり、また本質的な孤独の物語なのだろう。2017/10/11
ehirano1
178
佐藤優氏が自身の著作で紹介していたので手に取りました。まあ、のっけから不穏というか嫌な予感全開で、読むことを何度も躊躇してしまうのですが(=脳は「止めとけ」と信号を出しているようでした)、なぜかページを捲る手が止まらない止まらない、悲しいくらいに止まりません。その理由を言語化するのは私には困難なのですが、限界ギリギリの感情を生きる群像劇に圧倒されました。その意味で今までに経験のない余韻に呆然となりました。2024/12/14
青葉麒麟
162
ゾクゾクする程、面白かった。演技の才能なんて一ミリも無いって指摘した父親と妹を殺そうとする姉・澄伽や両親の事故死を漫画のネタにしちゃいそうで困っちゃう妹・清深や何事にも鈍いけど義妹に笑顔で呪いの人形を手渡す義姉・待子の三人のキャラが強烈過ぎ(^w^)最後の澄伽の独語は読んでる此方か気が狂いそうだった。あー、面白かった(*´∀`)2013/04/20
新地学@児童書病発動中
134
女優になることを目指して東京に行っていた主人公の女性が、両親の死のために田舎に帰って来るところから物語が始まる。自分が特別であると思っている主人公が痛々しい。他の登場人物たちも屈折したところを抱えていて、読んでいると胸が塞いでくる。印象的なタイトルは何を示しているのだろうか。自分が特別でないと気づくことから、新しい人生が始まると思う。その意味でこの物語は閉塞状況からの突破の物語だと言える。2016/07/21
めろんラブ
128
パンチの嵐をくらう。まずタイトルに右フック、そしてストーリーに左ストレート、キャラの造形に右ストレート、メーターを振り切る展開にアッパー。読後は鼻血ダラダラ、顔面ボコボコ、レバーもやられて、まさに満身創痍w凶暴なエネルギーを出し惜しみせず攻め立てるSっ気満載の本谷さんらしい作品。露悪もここまで突き抜けると爽快感すら覚える。クライマックスの文字通り”劇的な”盛り上がり、会話の洗練と小気味良いリズム、眼前に立ち上ってくる鮮やかな場面描写など、舞台を創る劇作家ゆえの力量に圧倒された。狂気の笑いは、ここにある。2013/02/12
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