内容説明
みんなの顔が“のっぺらぼう”に見える―。息子がそう言ったとき、僕は20年前に姿を消した兄に連絡を取った。家族みんなで暮らした懐かしいパルプ町。桜咲く“サクラバ”や六角交番、タンカス山など、あの町で起こった不思議な事件の真相を兄が語り始める。懐かしさがこみ上げるメフィスト賞受賞作。
著者等紹介
小路幸也[ショウジユキヤ]
1961年北海道生まれ。広告制作会社勤務を経て、ゲームシナリオなどの執筆活動へ。’03年に『空を見上げる古い歌を口ずさむ』で第29回メフィスト賞を受賞し、デビュー。『東京バンドワゴン』は「2006年度本の雑誌上半期ベスト4」に選ばれた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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夢追人009
317
小路幸也さんのデビュー作でメフィスト賞受賞作のSF幻想ミステリーです。私にとって著者の2冊目の作品ですが最初の本を読んだのが4年前で内容は殆ど忘れていまして今回読んで思ったのは著者の本質が幻想性を加味した家族小説なのだなと実感しましたね。でも代表作「東京バンドワゴン」シリーズも早めに読まなくちゃと思いますね。本作のキーワードは「のっぺらぼう」と言えますが、かといってホラー小説とも呼べず不思議な味わいで要するに怖さを強調するのではなく不思議な現象を描きつつひたすら少年時代のノスタルジーを追う作品なのですね。2022/08/12
相田うえお
147
★★★☆☆17072 顔がのっぺらぼう?小路幸也さんのデビュー作。作中の警官三太、名前がサンタクロースみたいでいいね。落語寿限無がでましたが、これフルネーム凄いよね。寿限無寿限無ごこうの擦り切れ 海砂利水魚の すいぎょうまつ うんらいまつ ふうらいまつ 食う寝る処に住む処 やぶらこうじのぶらこうじ パイポ パイポ パイポのシューリンガン シューリンガンのグーリンダイ グーリンダイのポンポコピーのポンポコナーのちょうきゅうめいの長介 って。。あらら、名前書いたらレビュー字数制限一杯になっちゃった。2017/07/29
りゅう☆
106
小学5年の夏、人の顔がのっぺらぼうに見えるようになった恭一の周りで不可解なことが起こるようになる。自殺する瞬間を目撃したり、白いシャツの人に見張られたり、あるノートを手にした友人が行方不明になったり、デパートで顔が分かる少年に会ったり、信頼していた大人が急に心臓発作起こしたり、近所のおじさんたちが不可解な死を遂げたり。小路さんって『東京バンドワゴン』のイメージだったから、このホラー感SF感に驚き。これってデビュー作なのね。恭一はどうなるのか、なぜ不可解な事が起こるのか、読みやすさもあって惹き込まれました。2021/01/04
セウテス
88
【作者デビュー作品】ある日突然、主人公の凌一の息子彰が、小学生から帰るなり人の顔が皆「のっぺらぼう」に見えると言い出す。凌一の兄は、同じく人の顔がのっぺらぼうに見える為、家族と離れて暮らしている。凌一は20年ぶりに兄と逢い、兄は彰の為に自分と凌一の少年時代の想い出を語り出す。どこかノスタルジックで、心に響く不思議な物語。顔が認識出来ない病気の為に、殺害現場に出くわしながらも犯人の顔が分からないサスペンスがあるが本作は全く違う。色んな風呂敷が広がり期待したのだが、謎解きの答えは無く余韻の為の物語だと感じる。2021/03/10
hit4papa
82
小学生の息子が突然、人の顔を認識しなくなった。戸惑う主人公。そんな中、20年音沙汰がなかった主人公の兄が訪ねてくる。兄は、息子と同様、少年の頃に突然、人の顔が認識できなったと打ち明ける。そして、家族と暮らす地方都市で起きた悲惨な出来事を語り始めるのだった…。行方不明となった友達、交番で拳銃自殺を遂げた警官、突発的な暴力衝動に駆られる者…。本作は、謎解きがメインか…と思いきや、そう単純ではありません。徐々に兄に課せられた大いなる(!)使命が判明していく…という展開です。異色ミステリ?ダークファンタジー?2023/09/06
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