出版社内容情報
豊臣家の猛臣・福島正則と徳川方の女忍者・小たま
野望と愛 戦国の世に生きた男と女の息詰まるドラマを描く 池波正太郎の傑作長編
豊臣家の猛将・福島正則の前に現れた徳川方の女忍者・小たまは、正則を籠絡し、巧みに城内に入り込んだ。探索をはじめた小たまは、武辺一方の正則を次第に愛しく想うようになる。豊臣秀吉亡き後、諸大名は自らの野望を抱き覇権をめぐる戦いは必至。ついには関ヶ原での天下を分ける決戦へと向かうのだった。
女の肌身
朝 靄
足袋師の娘
風 雲
甲賀・伴忍び
争 乱
石田屋敷
弥五兵衛と権左
岩根小五郎
煮つまった事
三成帰国
清正と正則
清洲の夏
慶長五年
戦さ忍び
その前夜
池波 正太郎[イケナミ ショウタロウ]
著・文・その他
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とん大西
121
池波正太郎×忍びの女×関ヶ原…もう読む前からお約束されてます。手垢がついた舞台でも抜群のエンタメ感。甲賀小たまの縦横無尽で蠱惑的なくノ一っぷりが冴え渡る。それにしても…あぁ福島正則。戦場では勇猛果敢のいくさ人。軍事畑一筋の正則に政治家としての鋭敏さを求めるのは酷な話か。しかも秀吉没後の疑心暗鬼のシビアな政局にあっては。キーパーソン故に家康に籠絡され、小たまに翻弄され。そんな野放図でトホホな感じは滑稽でむしろ可愛げさえあります。小山評定の緊迫と歓喜に戸惑いつつ、決戦の地・関ヶ原へ。小たまの躍動や如何に。2022/05/07
優希
52
面白かったです。徳川側の小たまは豊臣側の福島正則に取り入るものの、いつしか想い人になっているのが切なく感じました。秀吉亡き後の関ヶ原では敵味方に分かれてしまう。戦国のロミオとジュリエットを想像してしまいました。下巻も読みます。2023/04/06
タツ フカガワ
23
時代は秀吉没後、三成と家康の対決様相が濃くなるころ。清洲城主福島正則は猛将ながら正室に頭が上がらない恐妻家だが、ある日野駆けで助けた娘小たまの色香に惑わされメロメロになる。お色気も滑稽色もある始まりからスイスイ読んでしまう。無骨ながらイノセントな正則が魅力的です。三成の西軍が挙兵したところで下巻へ。2020/03/19
金吾
21
○勇猛果敢ではありますが、単純で戦場以外では自信がない福島正則を篭絡するくノ一を天下の動きを交えつつ書いています。何故こんなに人を信用するのだろうかと思いつつ読んでいます。2022/06/03
あまね
19
久々の池波先生の作品。圧倒的なエンターテイメント性の高さはさすがですね。女忍び・小たまに夢中になる福島正則ですが、加藤清正に比べて確かにこれまでイメージがあまり無かったなぁと…。一本気でやんちゃだけれど、清正を頼りにする姿は下巻でどうなっていくのか楽しみ。2021/03/01