内容説明
プロレス団体の総帥ダリウス佐々木が対戦直後に急死した。額の傷からは蛇毒が。大観衆の見つめる中、何が起こったのか?新人レスラー山田聡は同期の本庄と謎を追い始めるが、それが第二の悲劇を生む。プロレスに全てを懸けた者が決して許せなかったこととは?感涙がとまらない第49回江戸川乱歩賞受賞作。
著者等紹介
不知火京介[シラヌイキョウスケ]
1967年京都府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、監査法人に約3年半勤務。退社後、飼料工場員、旅館従業員、学習塾教師、家庭教師、森林組合職員などさまざまな職業を経た後、2003年、『マッチメイク』で第49回江戸川乱歩賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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hit4papa
56
プロレスの試合直後、団体の総帥が死亡した。原因は、額の傷から入った毒物だった…。大勢の観客を前に行われた大胆な犯行。その謎を探る新人レスラー二人の活躍が描かれたミステリです。勝負の世界でありショービジネスでもあるというプロレスの舞台裏が、個性的な登場人物を配して描かれており、興味を掻き立てられます。スタイルの異なる新人らがライバル同志という設定も良いですね。プロレスを知らない読者でも愉しめるでしょう。主人公が真相にたどり着いた時、最大のピンチが訪れます。謎解きとしても満足度は高い作品です。【乱歩賞】2021/05/11
つねじろう
44
プロレスの世界を舞台にしたミステリー。そう大半の男の子にとってプロレス熱はハシカみたいに一度はかかる憧れの世界。子供心にもその胡散臭さは良くわかってたりするが、その議論も含めて誰が一番強いか夢中になるし、ごっこは大好き。そんな時代を思い出させてくれる作品。突っ込みどこは沢山あるけどリング上の格闘シーンや、舞台裏はリアルでワクワクする。後半の追込み、追い込まれるとこは中々でした。門番の丹下が良いよね。ちょっと勿体無かったなあ。2013/10/26
三代目けんこと
40
越中VS高田VS馳の三つ巴の戦いや鶴田軍VS超世代軍は燃えたなぁ~。あの頃は面白かったなぁ~。やっぱり史上最強はJ鶴田や。ボディースラム、ストンピング、ジャンピングニー、バックドロップだけで試合を成立させ、見る者を興奮させてしまう。おっとっと、本の感想がプロレス回顧になってしまった。そうさせてしまう一冊なのです。
さくら★もち
30
プロレス団体のトップレスラーがリング上で亡くなった。自殺かそれとも団体の誰かの犯行か。新人レスラー・山田が、自身のプロレススタイルを模索し、鍛錬を重ねながら事件の真相を追う。団体の会社としての顔、先輩後輩や同期との関係性、昭和のプロレス感漂う外国人選手との攻防と観客の反応など、プロレス好きとしては面白かったけど、期待してたミステリ部分は弱めで物足りなかった。強いけどお茶目な合宿所の門番・丹下さんの存在感がすべてかな。マッチメイクの中でいかに輝き仕事を果たすか。レスラーの生き様に思いを馳せながら本を閉じた。2022/08/28
森オサム
27
第49回江戸川乱歩賞受賞作。ゴールデンタイムでプロレスを毎週観ていた世代には、感慨深い題材です。ミステリーとしては少々隙が多いので、往年のプロレスファン以外は特に読まなくて良いでしょう。まあ、青春小説と言う側面もありますので、青年の成長小説として読むのは有りかも知れませんが。私にとっては結構面白い作品でした。2016/01/17