出版社内容情報
小学校のときのいじめが忘れられない中2の「わたし」は、ある日素敵な大人の女性と知り合うが……。少女と大人――
傷つきやすい2つのハートが出会ったある夏の物語
1つ、クールに生きていく。2つ、友だちはつくらない。そう心に決めていた中学生の私の前に、不思議な一人の女性があらわれた。彼女こそ、理想の大人だと思う私の毎日は少しずつ変わっていくが……。少女と大人――傷つきやすい2つのハートが出会った、ある夏の物語。第36回講談社児童文学新人賞受賞。
非・バランス
あとがき
魚住 直子[ウオズミ ナオコ]
著・文・その他
内容説明
1つ、クールに生きていく。2つ、友だちはつくらない。そう心に決めていた中学生の私の前に、不思議な一人の女性があらわれた。彼女こそ、理想の大人だと思う私の毎日は少しずつ変わっていくが…。少女と大人―傷つきやすい2つのハートが出会った、ある夏の物語。第36回講談社児童文学新人賞受賞。
著者等紹介
魚住直子[ウオズミナオコ]
1966年生まれ。広島大学教育学部心理学科卒業。『非・バランス』で第36回講談社児童文学新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
366
講談社児童文学新人賞受賞作。本書の主人公(語り手でもある)は中学2年生なので、ここでいう児童文学の対象年齢には適うのだろうが、タイトルからすれば児童文学の範疇をはみ出しそうな、まさに純文学のそれ―例えば芥川賞作のようだ。小説の冒頭こそミドリノオバサンに始まるが、その後の「私」と15歳年上のサラさんとの邂逅と、互いの情動の交感もやはり純文学のものだろう。この人の作品は初読だが、その後はどうやら児童文学の道を歩むようだ。その分野に新しい可能性が広がればいいなと思う。2018/07/14
やすらぎ
167
人それぞれに立ち位置を探し、自らの感情と周囲との協調のなかで、心は常に揺れ動いている。…私は砂を集めどんどん山を高くして握りしめ、最後は蹴っ飛ばした。でも忘れられないの。忘れようとしてるのに。先延ばしにしていても駄目、怖がっているだけじゃ駄目。分かっているのに、そろそろ忘れたかと思うと、しっかり覚えているの。…誰もが経験する葛藤。手当てをしてもなかなか治らない傷。白いブラウスで隠しても癒えない傷跡。誰のためにバランスを整えるの。一度倒れたってまた起き上がればいい。バランスをずっと保てる人なんていないから。2021/10/09
tokotoko
65
心のバランスの針が、もしどっちかに振り切れそうだ・・・って思ったら、この本を開いてみてください。きっと、ちょっぴり戻ると思います。あとね、クールに生きよう、友達は作らないって決めて、今、自分の場所で、力いーっぱい踏ん張ってがんばっていらっしゃる方々にも、ぜひ!読んでみてほしい一冊です。2016/08/21
masa@レビューお休み中
61
バランスが取れなくなる時がある。どんなに頑張ってもダメで、足掻けば足掻くほど、悪い方向に行ってしまう時がある。それは、誰が悪いとか、何をすればいいとか明確な答えをもたないものだ。主人公のわたしは、中学二年生である。学校には毎日通うが友達はいない。なぜかというと、クールに生きていくこと、友達は作らないことを決めているからだ。そんなわたしに、大人のサラという友人ができる。サラと電話をしたり、会ったり、出かけたりすることで、少しずつ何かが変わっていくわたし。少女と大人の友情は一体どこに向かっていくのか…。2013/02/13
pohcho
57
クールに生きていく、友だちはつくらないと心に決めた中学二年生の私。ある日、大人の女性・サラさんに助けてもらうのだが、そこから二人の交流が始まって・・。少女も大人もどちらも闇を抱えていて、一方的ではない微妙な距離感がよかった。緑のレインコートを着た少女が、かつてのいじめっ子の家に行く場面が鮮やか。かれこれ30年近く前に書かれた小説だが、今でも楽しめる古びない作品。2023/08/18