内容説明
隆盛をきわめた平出商店の悩みの種は、跡継ぎの娘リツと婿の修二郎の不仲であった。が、無事に孫も生まれ、順調に思えた一族にも、容赦のない時代の波は、押し寄せてきた―日露戦争、震災、愛する人の死、そして老い…。昭和を孫の千鶴と生きるおさよの胸には、いつも、あの北の海の、「深い霧」があった。
著者等紹介
原田康子[ハラダヤスコ]
1928年東京生まれ。2歳の時釧路に移り住む。釧路市立高等女学校卒業。東北海道新聞社の記者となる。’56年同人誌「北海文学」に発表後、東都書房から出版された長篇小説『挽歌』(女流文学者賞受賞)はベストセラーとなり、さらに映画化されブームとなった。主な著書に『蝋涙』(’99年女流文学賞受賞)『聖母の鏡』などがある。『海霧』で第37回吉川英治文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Ribes triste
6
総領娘リツの娘千鶴の誕生と家族の死。凋落してゆく平出商店。3代に渡る物語は最後までエネルギッシュでした。2018/04/11
akiko
5
作者原田さんの祖母をモデルとしたのが、リツだった。男達は大変な時代を仕事に生きたのだろうが、女達の物語も面白い。さよが家族に翻弄されながらも生き抜く様は、お見事です。上中下巻、さよと一緒の時間を過ごせた感じです。2023/11/17
越おじ
3
「海霧」上中下読了。長い物語でしたが主人公さよを取り巻く人物たちが生き生きと活写され物語の中にどっぷりと浸かることができました。中でも長女リツの生きざまが脳裏にあざやかに蘇ります。帯広出身の私としては近くて遠かった釧路の歴史も知ることができとてもよかったです。原田康子さんは、「風の砦」もお薦めです。2025/04/03
しそゆかりうめこ
2
著者血族三代に亘る物語。出逢う人によって人生は全く様変わりする。確かな目利き、暮らしの細かな積み重ね、登場する人々がどんな端役であってもそれぞれ輝く魅力にあふれその人柄を知ることが出来る。言葉遣いの使い方なのか時代はどんどん移り変わっていき寂しさも感じる。あの時代は良かったなあなどとわたしもこの中で生きたように感じた。そして今ここに私があるのはどうやってか生き抜いたご先祖のお陰であると思うと知ろうともせず途切れる血や下着一枚仕立てることもできないのに生意気生きている事が恥ずかしいし申し訳なくてたまらない。2020/11/10
micari
2
10.何だかうまく感想が出てこないんだけど。読み終わった次の日からインフルエンザでダウン。高熱で寝てる間中この夢を見てた。それぐらい心に残る作品だったってこと。読んで良かった。楽しかった。2017/02/19
-
- 洋書
- Black Buck