出版社内容情報
あるべきでないものは――矢張りない方がいい……発見なんかされなきゃ良かったんだ
「ああ云う場所はもう――これから先はなくなってしまうのだろうな」。京極堂は最後に独り言(ご)ちた。多くの仏弟子を次々に魔境へと拉(らっ)し去った妄念の寺が紅蓮の炎に包まれたとき、燃え落ちていく憑物の意外な正体が明らかになる。世界ミステリ史上もっとも驚くべき動機と犯人像を呈示した傑作、ここに完結。
京極 夏彦[キョウゴク ナツヒコ]
著・文・その他
正木 晃[マサキ アキラ]
解説
玄侑 宗久[ゲンユウ ソウキュウ]
解説
内容説明
「ああ云う場所はもう―これから先はなくなってしまうのだろうな」。京極堂は最後に独り言ちた。多くの仏弟子を次々に魔境へと拉し去った妄念の寺が紅蓮の炎に包まれたとき、燃え落ちていく憑物の意外な正体が明らかになる。世界ミステリ史上もっとも驚くべき動機と犯人像を呈示した傑作、ここに完結。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
73
解決編突入。殺人事件は更に四人目の被害者を出すことになる。此処に到って京極堂は、ついに年をとらない少女の憑き物を落とすべく明慧寺へと乗り込む。シリーズ物としてはキャラ的にも表現されていると思うが、全く別のキャラで話を表現したとするなら、多分この様に評価されなかっただろう。また禅宗に興味の湧かなかった読者には、あまりにも長いだけの様に感じる。謎の答えは、超自然的な要素が出てくる感があり、説明は出来ないが犯人は簡単に解るという、ミステリとしての評価は低い。むしろ禅の世界を、読み物として表した事に驚きを感じる。2015/12/21
えみ
55
それぞれの檻から出られたか?過去からの呪縛は解かれたか?如何なる者も浮き世に戻ってこられたのか…。怪しい山中の寺・明慧寺はやはり異界そのものだった。僧侶達に取り憑いた“ソレ”の正体破れたり。京極堂が遂に重い腰を上げ『憑物』落とし、事件解決へと加速する。まさか噓でしょ、そんなことがあり得るのか!?と驚きと怪異現象の否定できない展開で一瞬たりとも目が離せない。完結してホッとすると同時に終わりが欲しくない、まだその檻の中に囲っていて欲しいような、それこそ複雑怪奇な心情で乱されながら完結編を読了。早くも京極ロス。2021/01/22
みや
36
関わりを拒絶し続けてきた京極堂が、とうとう舞台に立つ。長い長い物語の、一番最初の一行に深い意味が込められているだろうとは予測していたが、最後まで見事に翻弄されていた。あまりにも理解不能な動機は、どんなに説明されても得心は難しい。快楽殺人や衝動的殺人より不可解で、共感できないというレベルを超えている。想像すら及ばない。嫉妬という言葉が近い気もするが、何かが違う。結末自体には溜飲が下がったものの、読後には蟠りが残った。再読とは思えない感想で、説得力に欠けるが、この動機に対峙した際の困惑は二度と忘れないだろう。2017/01/04
つたもみじ
35
最終巻。ノベルズ版以来の再読だけれど、シリーズの中でも上位で好み。明慧寺に関わる事をずっと拒否し続けていた京極堂が重い腰をあげ、榎木津も再登場して、いよいよ物語は終幕へと。智稔和尚の妄念、了稔和尚の檻。数人の計略でつくられた閉鎖空間に捕らわれていた僧達。動機は、わからなくもないなぁ。ただ最後の大悟だけ理解が難しかった。鈴に関しては後味が悪い。慈行はやはり空っぽだったんだなぁ。榎木津曰く「子供のくせに」ああ、なるほど的確だ。竹を割ったような榎木津の言動が痛快ではあったけれど、最後には物悲しさが残った。2017/09/18
カラシニコフ
33
巻末の解説にもある通り、仏教や禅に対する知識や蘊蓄をものすごく解りやすく、さらに面白く描いている。さらにさらに動機の破壊力の凄まじさ。仏教って本来、嫉妬なり執着なりを捨てるもののはずが…。ラストは映像にしたら凄そうな感じがする。今回も良い関口くんのヒロインぷりでした。 ★★★★★2016/05/01
-
- 和書
- 森鴎外・歴史小説研究