出版社内容情報
浅田 次郎[アサダ ジロウ]
著・文・その他
内容説明
列強諸国に蹂躙され荒廃した清朝最末期の北京。その混乱のさなか、紫禁城の奥深くでひとりの妃が無残に命を奪われた。皇帝の寵愛を一身に受けた美しい妃は、何故、誰に殺されたのか?犯人探しに乗り出した日英独露の高官が知った、あまりにも切ない真相とは―。『蒼穹の昴』に続く感動の中国宮廷ロマン。
著者等紹介
浅田次郎[アサダジロウ]
1951年東京都生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で吉川英治文学新人賞、1997年『鉄道員』で直木賞、2000年『壬生義士伝』で柴田錬三郎賞をそれぞれ受賞する
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
437
予想以上に楽しめた。シリーズ中でも『珍妃の井戸』と『マンチェリアンリポート』は幕間の繋ぎの作品なのかという印象をがあり、実際にそういう側面も持っている。しかし、この作品に関していえば、ならではこその意欲的な趣向が凝らされ、読み終えた時に独特の感動を得ることが出来る。その冒険的な一面であるミステリ要素が、読前の敬遠する気持ちのかなり大きな要因でもあったように感じるが、一読の価値のあった綺麗な纏まりをした一冊だと、今になっては考えを改めた。今後の作品にどのように関わってくるのかも楽しみ。2021/08/02
KAZOO
179
「蒼穹の昴」に続く、1冊物での第2部です。時間がかかりました。義和団事件の後に光緒帝の最愛の珍妃が殺され程度に投げ込まれる事件があります。その事件を英国、ドイツ、ロシア、日本の貴族が解決しようと様々な人物などに聞き込みをしていきます。その状況は芥川龍之介の「藪の中」のような感じですが、最後には皮肉な結果が待ち構えています。次の第3部は「中原の虹」4冊です。2024/10/17
HIRO1970
169
⭐️⭐️⭐️本年1冊目は浅田さんでした。蒼穹の昴の続編ということでしたが、またしてもやられました...。これで浅田さんの作品も28作目の読了となりますが、毎回唸らされているような気がします。まさか推理小説になっているとは...。近現代を物ともせず料理してしまう力量には驚きかつまいりました。2015/01/04
修一朗
166
義和団の乱後の混乱した北京,といっても動乱でなくて2年前の「珍妃の井戸」事件の真相を探るというお話。そのころの列強に蚕食されて滅亡間近の紫禁城の姿を描かれている。西太后を取り巻く人間関係は複雑だ。逃亡のどさくさで積年の恨みで殺されることになるなんて。珍妃の事件に関しては新設発表ということではないらしい。おかげで行ったこともないのに紫禁城の内部がよくわかった。死ぬ前に故宮は行ってみたいね。昔北京に留学していたくせに全く観光しなかったのは心残りだね。次の作品に参ります。光緒帝退場,で次は溥儀の出番だ。2024/03/04
再び読書
131
「蒼穹の昴」の後の話と言うことで読み始めた。光緒帝の妃の死の真実に挑む浅田氏の語り口が面白い。西太后や袁世凱が学校で習った歴史と違う解釈で語られていて、意外な一面がみられる。光緒帝が目指した革命が失敗に終わり、義和団事変によって列強に切り取られていく清朝末期の悲しさが感じられる。最後に再び100年後の返還をまとめた大政治家李鴻章の偉大さに感心する。2013/06/13
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