出版社内容情報
村上 春樹[ムラカミ ハルキ]
著・文・その他
内容説明
『羊をめぐる冒険』から四年、激しく雪の降りしきる札幌の街から「僕」の新しい冒険が始まる。奇妙で複雑なダンス・ステップを踏みながら「僕」はその暗く危険な運命の迷路をすり抜けていく。七〇年代の魂の遍歴を辿った著者が八〇年代を舞台に、新たな価値を求めて闇と光の交錯を鮮やかに描きあげた話題作。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
544
数えきれないほどの再読。やはり春樹さまの作品中、個人的に上位。ちょっと今いろいろ立ち止まって考えることあったんだけど、羊男に背中押されて、わたしも踊り続けることに決めた。ちりばめられたメタファーを拾い集めるのも楽しい。ある意味春樹さまの啓蒙書だな。2024/06/09
ヴェネツィア
436
間に2つの長編小説その他を挟むのだが、物語としては『羊をめぐる冒険』の続編という風に始まっている。この時期、村上春樹自身がおそらくは置かれていたであろう一種の行き詰まり感を反映してか、小説の冒頭からしばらくは重い。ユキと北海道を出るあたりから、ようやくスピード感が生まれてくるが。それはある種の諦めを受け入れるからでもあるのだろう。ダンスのステップのように、こんな風にしか生きようがない34歳の「僕」。下巻では、新たなステップを踏み出すのだろうか。2012/06/10
zero1
324
すべては繋がっている?多くを失った「僕」は踊ることで再生する?「羊」から4年。34歳になった「僕」。雪の降る札幌で新たな物語が始まった。高度資本主義社会で【文化的雪かき】を生業としていた「僕」は新いるかホテルに宿泊し羊男と再会。上巻で名前が出ない【ホテルの精】に不登校で親からネグレクトされているユキ。耳が素敵なメイは五反田君の映画に出ていた。かっこう。そして事件と刑事の登場。34と13歳の会話は「騎士団長殺し」に通じる。再読だが佐々木マキの表紙が懐かしい。下巻では銀世界からハワイへと舞台が飛ぶ。やれやれ。2019/10/22
遥かなる想い
260
村上春樹には独特の世界に読者を引き込んでいく魔力のようなものが確かにある。ただし、しばらくすると、話を忘れてしまう悲しさもある。2010/06/02
ehirano1
235
1980年代を懐かしく感じながら、スピード感に溢れる物語。意味深なる台詞にいちいち立ち止まりました。しかし、この立ち止まりは決してウザイものではなくむしろ、読書でしか体験できないとても大切な「何か」でした、まだ前半だけど。2025/06/07