出版社内容情報
人みな心中に妖しきものを飼う 京極堂を待ちながら
「妖怪」はいずこより来るのか……。人の心は闇にあらねども、揺るぎないはずの世界が乱れたとき、その裂け目から恠(あや)しきものが湧き出し、取り憑く。他人の視線を畏れる者、煙に常軌を逸した執着をもつ火消し、「海」を忌む小説家……。日常に潜む恐怖を描く10の短篇から成る「京極堂サイドストーリーズ」。
京極 夏彦[キョウゴク ナツヒコ]
著・文・その他
内容説明
「妖怪」はいずこより来るのか…。人の心は闇にあらねども、揺るぎないはずの世界が乱れたとき、その裂け目から恠しきものが湧き出し、取り憑く。他人の視線を畏れる者、煙に常軌を逸した執着をもつ火消し、「海」を忌む小説家…。日常に潜む恐怖を描く十の短篇から成る「京極堂サイドストーリーズ」。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
108
本物の妖怪が出てくる怪奇性の高い短編集でした。『姑獲鳥の夏』から『塗仏の宴』までのシリーズのサイドストーリー。シリーズに登場する人たちが妖怪に憑かれることにより、救うことのできない人格障害に陥るのが恐ろしくも痛ましかったです。事件が起きる前日譚なので、あの一連の事件は心を蝕まれたが故の結果だと思うだけで背筋が凍りそうになりました。秋彦さんの憑物落としがないので、不気味な後味を残しますが、それが京極作品ならではの味だと思います。シリーズのファンだからこそ楽しめる恐怖の感覚が何とも言えませんね。2016/07/24
よむよむ
89
再読。百鬼夜行シリーズの十人の脇役たちがクローズアップされ、心が壊れていく様が描かれている。シリーズ通して読んでいるので本編のシーンが目に浮かび、また全て最初から読み返したくなる。2019/08/18
chantal(シャンタール)
75
【今更京極倶楽部】京極堂シリーズも「塗仏の宴」まで読んでちょっと一息と思っていたら、こちらはちょうど、それまでの復習のようなサイドストーリー。「この人、あの作品の人!」と懐かしい知り合いに出会ったよう気持ちで、これまでのシリーズを思い返しながら読む。それぞれの章で「百鬼夜行拾遺」による妖怪の紹介があるのだが、「目目連」の絵が怖すぎる😱今のところ「絡新婦の理」が一番好きなのだが、あの殺人もかなり凄惨。でも、この絵を見ると平野の気持ちも分からなくもない。視線、怖すぎる。トリを飾るのは勿論、我らが関先生!2021/03/06
ゆいまある
72
姑獲鳥から絡新婦の外伝。それぞれの物語の前に当たる話や、サイドストーリー。短編集なので、登場人物が少なく、話も複雑でないので、記憶力を働かさなくても読めるところが素晴らしい。ただ、「この人誰だっけ」と思ったら、今までに出てきていないキャラということもある(笑)。京極先生の凄いところは、文章の美しさ。頭が働かない時でも食欲のない時の素麺並みにつるつる読める。関口君の性格の悪さに配偶者がどうして耐えてくれてるのか謎。一か所間違い発見。昔の診察机の飴色の瓶の中にあるのは鉗子ではなく舌圧子。2019/05/27
はらぺこ
71
今まで登場したあの人この人が登場。自分はシリーズで起こった事(切欠になる過去の事件も含む)や人物名を完璧に憶えてる訳やないので、このサイドストーリーのオリジナルなのかどうなのか気になって上の空で読んだ話もあった。 好きな話は『鬼一口』と『毛倡妓』。 短編やし、このぐらいのページ数なら屁みたいなもんやわ。2011/08/14