絢爛たる世界帝国―隋唐時代

気賀沢 保規【著】

講談社（2005/06発売）

• サイズ A5判／ページ数 414p／高さ 20cm
• 商品コード 9784062740562
• NDC分類 222.01
• Cコード C0322

出版社内容情報

6?10世紀東アジアに燦然と咲きほこった隋唐帝国300年の興亡
シルクロード・遣唐使・国際都市長安・則天武后・楊貴妃・女性の進出

大運河を開いた名君か、民衆を疲弊させた悪王か、毀誉定まらぬ隋煬帝。短命に終わった隋王朝の後をうけ、7?10世紀東アジア世界に君臨した大唐帝国。絲綢の道（シルクロード）を行き交う多彩な民族と国際都市長安。則天武后・楊貴妃など目覚ましい女性の進出。李白・白居易らの優れた文芸。やがて民衆反乱により滅亡へと向かう300年余の興亡史を描き出す。

氣賀澤 保規［ケガサワ ヤスノリ］
著・文・その他

内容説明

大運河を開いた名君か、民衆を疲弊させた悪王か、毀誉定まらぬ隋煬帝。短命に終わった隋王朝の後をうけ、七～一〇世紀東アジア世界に君臨した大唐帝国。絲綢の道を行き交う多彩な民族と国際都市長安。則天武后・楊貴妃など目覚ましい女性の進出。李白・白居易らの優れた文芸。やがて民衆反乱により滅亡へと向かう三百年余の興亡史を描き出す。

目次

第１章　新たな統一国家―隋王朝
第２章　唐の再統一とその政治
第３章　安史の乱後の唐代後半の時代様相
第４章　律令制下の人々の暮らし
第５章　則天武后と唐の女たち
第６章　都市の発展とシルクロード
第７章　隋唐国家の軍事と兵制
第８章　円仁の入唐求法の旅―唐後半期の社会瞥見
第９章　東アジアの国々の動向
第１０章　隋唐文化の諸相
終章　唐宋の変革の理解にむけて

著者等紹介

気賀沢保規［ケガサワヤスノリ］
１９４３年長野県生まれ。京都大学文学部卒業。京都大学大学院文学研究科博士課程修了（東洋史学専攻）。文学博士。仏教大学助教授、富山大学教授などを、１９９５年明治大学文学部教授。中国の魏晋南北朝から隋唐時代にかけての政治・社会・文化史を専攻
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感想・レビュー

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[崩紫サロメ]

タイトルについて著者は「中国王朝の変質・崩壊に連動して周辺諸国全体が文字通り面貌一新した時代」であると説明し、隋唐というある程度の連続性を持つ両王朝を東アジアの歴史の中で辿る。具体的には日本人僧侶で、唐の新羅人社会で活動した円仁のように、この時代の国際性を示す話も面白い。また、隋唐時代は貴族制を介在させて、魏晉からの大きな流れであるとも指摘、府兵制の中核となる軍事のあり方も丁寧に解説している。

2020/03/23

[MUNEKAZ]

隋唐帝国の概説書。政治史はコンパクトにまとめ、文化・都市・女性・兵制など様々なトピックを取り上げている。面白いのは、著者がそうした中から「貴族制」というものを、この時代を貫くキーワードとして取り上げているところ。律令や科挙による強固な官僚制だけではなく、皇帝や門閥貴族の恣意性が生み出す支配のルーズさも、多民族国家をまとめ上げるのに役立っていたとする。日本の天皇・朝廷もそうだが、他者を自らの権威に包み込むという王朝文化の持つ力が感じられるところであった。

2018/07/21

[見もの・読みもの日記]

隋唐をひとつながりに記述。唐太祖が隋煬帝を否定して隋文帝の治世に帰ろうとしたこと、太宗が次第に制度を整えていくと煬帝の路線に近くなることなど建国の英雄たちの関係が面白い。長安の人口推計、市場と草市、兵制、遊里など人々の生活の細部も興味深く、豊富な地図と写真図版を眺めているだけでさまざまな想像が湧いた。

2019/09/20

[ＧＥＯ（ジオ）]

だいぶ久しぶりに再読。隋唐史研究の第一人者たる著者による概説書。非常にわかりやすく隋唐時代の政治史、経済史、文化史の概略が述べられている。西嶋定生の冊封体制論を意識したと思われる国際関係にも触れられていて面白い。このあたりのこと、もう少し勉強しないとなあ。

2015/04/20

[hal]

当時の中国を中心とした国際関係から、その時代の出来事の意味を再検討する視点は刺激的で魅力的。随・唐朝が鮮卑系と思われるところから来る社会のダイナミズムも意外で面白い。中国史上数少ない女帝がこの時代に現れたこともその文脈の中で位置づけられると納得しやすい。随・唐時代を概観するのに適した本だと思う。

2021/01/25